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BUZZチューニング・システムについて


 ギタリストのバジー・フェイトンが長年の疑問を解決するべく開発したチュー
ニングシステムです。彼もローポジションにおける「シャープ」の解決を考え、
さらに積極的にギターの響きを追及したようです。ローポジションの「シャー
プ」については、彼の考え方は僕とちょっと違っていますが、解決のためにと
られる手段はまったくおなじで、ナット位置のシフトです。バジーがどれぐら
いの量を考えていたのかは定かではありません。が、彼が親しくするアメリカ
の某メーカーのシフト量は約2mmです。
 バジーシステムの根幹はこのナット位置のシフトと、各弦ごとの開放時の
チューニングのシフトと、ブリッジ位置のシフトです。
 参考にエレクトリックギターの場合のシフト量を載せておきます。しかしこ
れはオフィシャルなものではなく、僕が各種資料などから割り出したものです。
したがって、まったくこの通りであるかどうかは保証の限りではありません。


  6E 5A 4D 3G 2B 1E
    開放のチューニング -2 -2 -2 -2 +1 0
12フレットのチューニング 0 0 +1 +1 0 0
上記の数値から割り出される
ブリッジのシフト量
+2 +2 +3 +3 -1 0
                      (単位はcent)

 これらの数字を見て解る通り、バジーが問題にしているのは1〜3centです。
ですから、このチューニングを施されるギターは当然これに答えられるだけ
の精度を持っていなくてはなりません。プラスマイナス0.5cent以内でしょう
か。市販レベルでこれを実現するのはとても難しいことだと思います。カス
タムメイドに近い海外の高級品メーカーの製品はこの基準を満たしているか
も知れません。今まで店頭であまりちゃんとした楽器を見たことがないメー
カーでもバジーシステムを名乗っていますが、実際どうなんでしょう。僕の
友人達の調査では???です。ギター店の店員さんたちに説明を聞いてみる
とあまり解っていないみたいですから、店頭での状態は悲惨なものになって
いるかも知れません。チューニングが20cent以上もずれているギターを「こ
れがバジーシステムでチューニングしたギターです」といって渡されたりし
ます。バジーが泣きます!

 バジーシステムを名乗るギターメーカーは、よりいっそうの広報活動をす
る必要が有るように思います。まして、ユーザーが知っていて当然の事柄を
特許の守秘義務が有るなどという訳の解らないことを言って秘密にしたがる
態度は、とうてい正常なものに思えません。バジーのシステムは僕の知人の
ところが絡んでいるわけなんですが、そこでは色々な情報を的確に伝えてき
てくれます。これがあたりまえだと思います。

 で、バジーシステムの音なんですが、一言でいって「明るい」です。コー
ドの響き方が上に抜ける感じ・・・こう言っても解りませんね。ブリッジ位
置のシフトをしなくても、ローポジションでだけなら、疑似バジーを体験で
きます。ローポジションでの押弦時のピッチがぴったり合うギターを用意し
て、上記の開放時のチューニングを試してみてください。どうですか?
 コルグからバジーチューニングを搭載したチューニングメーターが発売さ
れています。なかなか具合よいです。

バジー: 僕はバジー・フェイトンのファンでした。フェートン・ラーセン
バンド とても好きでした。鋭角的なカッティングはまねできませんね。彼
がまたこういう形で脚光を浴びてとても嬉しいです。


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