電源アダプタ続報2,おすすめ電源アダプタ


電源アダプタに関するリポートを読んだ方から「これはどうだろう?」と
アダプタがおくられてきました。Roland BOSS PSA-100Gです。
有名な製品なのに、残念ながら僕は持っていなかったのです。
早速試してみるとさすがに大変良いものでした。

ハムノイズはデジテックと同様に大変少なく、静かです。
電圧もはかってみました。定格は9V 200mAです。

無負荷     9.16V
15mA流した時  9.15V
30mA流した時  9.14V

優秀ですね。これも安定化されているようです。

デジテックPS200RとボスPSA-100Gでは電圧が違います。(9.6Vと9V)
エフェクターによってはその影響を受けるものが有るかも知れません。
OPERATION3では若干感触がかわります。
PSA-100Gのほうが高域に特徴が出ます。
PS200Rは、それに比較して、落ち着いた印象が有ります。
違いは微妙で、どちらを選ぶかはまさに好みになってしまいます。

電流容量が PSA-100Gは200mA, PS200Rは300mAなので、必要とする電流
というのも選択の際の要素になるかも知れません。
複数個のエフェクターを接続する時には各エフェクターの消費電流を足して
さらにある程度の余裕を見ておくのが良いと思われます。規格ギリギリで使うと
かなり熱を持つこともあります。

しかし・・・それにしても・・・家に転がっていた6個のダメアダプタは
何だったんだろうと思うことしきりです。

参考にしていただけますと幸いです。
(2005.04.14)


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電源アダプタ続報


エフェクター用のコンパクトな電源アダプタについての続報です。
前回のリポートで[A]としたものを更に2個購入いたしました。

面白いことに、今回購入したものは前回のリポートのものと微妙に異なっています。
ケースのモールドやラベルに違いが見られます。これがロットによるものなのか
あるいは工場の違いなのか定かではありません。

前回と同様にOPERATION3でノイズをチェックしました。
2個とも非常にローノイズです。これは良いです。
電圧も測定してみました。定格は9.6Vです。

**無負荷の場合**
[I]-----9.80V
[II]-----9.67V
[III]-----9.70V

**約20〜25mA流した場合** 
[I]-----9.79V
[II]-----9.66V
[III]-----9.68V

**約40〜50mA流した場合**
[I]-----9.78V
[II]-----9.65V
[III]-----9.66V

ご覧の通り大変優秀です。
これはお勧めできると思いますので、製品名を発表させていただきます。

[I] はデジテックのCROSSROADSに付属してきたPS200R-100です。
[II] と [III] は単体売りのデジテックAP-2(PS200R-100)です。
基本的に全く同じ製品のはずです。
出力定格9.6Vで300mA、定価は¥2500です。
この性能でこの価格は、まったくのお買い得だと思います。
前回テストしたノイズが大きかったり電圧変動が大きかったりするものでも、
ほぼ同じ価格帯で販売されてます。


メーカーに聞いてみると特にレギュレーションの向上を目指した回路になっている
そうで、付属品の方の箱には小さくさりげなく [REGULATED] と書いてあります。
単体売りの箱には特にそのような記載はありません。もっと大きくアピールしても
良いのに・・と思ってしまいました。

前回今回と電源アダプタを見てきましたが、市場にあるもののうちのほんの一部
です。テストしなかったものの中にもデジテックPS200R-100のような性能を
持ったものがあるかもしれません。
皆さんからも情報をいただけますと大変ありがたいです。
(2005.04.09)


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電源アダプタ(AC-DC)にご注意


コンパクトエフェクターの電源として、僕は電池の使用をお勧めしてきました。
ところが最近の傾向として電池では非常に不経済になってしまうエフェクターが
ふえてきました。デジタル化であったり、チューブの使用であったり、理由は
いろいろありますが、電源アダプタの使用が避けられない状況になってきました。
では今流通しているコンパクトな電源アダプタの程度はどのようなものでしょうか。
手持ちのアダプタ6機種と自作の実験用電源を比較してみましたので、結果を報告
いたします。

実験に使ったエフェクターはALEATORIKのOPERATION3です。
電池で使用した場合や自作の実験用電源のばあい、エフェクター自身での
ハムノイズ(ブーーンという低音のノイズ)は判別できないレベルにあります。
とても静かです。自作の実験用電源はごく普通の3端子レギュレータで、特に
高性能というわけではありません。

ALEATORIKはこれ位の電源は当たり前に供給されるものと思って設計しました。
しかし、市販の電源アダプタにはいろいろなものがあって、ALEATORIKは使う
アダプタによる影響が大きいことがわかりました。

試みに他のエフェクターで試してみると、影響の受け方は様々ですがALEATORIK
ほどではないものもあります。ALEATORIKでは低音域を十分すぎるくらいのばして
いるので、それの影響かなあ・・とも思っておりますが、目指したサウンドから
考えて、今のところ変更の予定はありません。

前述したようにALEATORIKを自作の実験用電源で使用すると全く静かです。
市販品の電源アダプタの6機種のうちのひとつ A は実験用電源と同じように
静かです。
3機種 B と C、D はハムノイズが聞こえるもののシビアな条件でなければ
使用にたえると思いました。のこりの2機種 E、F は非常に大きなハムノイズ
が出ます。これは使用できません。
コンパクトな市販品には平滑回路が十分でないものもあるのかもしれません。

対策としては、とりあえず、全く静かな電源アダプタも市販品にあるので、そう
いったものを探して頂くしかないのかなと思っております。楽器のボリュームを
絞ってもブーンというノイズが気になるときには、電源アダプタもチェック項目
に入れてみてください。
可能な限り電池を使うというのが、やはりおすすめです。

アダプタをかえると音が変わる、という意見もあちこちで耳にします。
電源アダプタに関してはハムノイズだけではなく、出力電圧の誤差や容量など、
他の面でもチェックすべき事柄がたくさんあるように思います。
手持ちの市販品には9V DC(1個だけ9.6V)と書いてありますが、実際に測って
みると次のような結果でした。
(中にはなかなか電圧が安定しないものもあるのでざっと傾向を見る程度です。
 測定誤差についてはご容赦ください)

**無負荷の場合**
自作(定格9V)--- 8.99V
A(定格9.6V)---- 9.80V
B-------------- 10.89V
C-------------- 15.21V
D-------------- 13.60V
E-------------- 13.38V
F------------- 12.82V

**約20〜25mA流した場合**
自作(定格9V)--- 8.95V
A(定格9.6V)---- 9.79V
B-------------- 10.22V
C-------------- 13.55V
D-------------- 12.93V
E-------------- 13.06V
F------------- 12.65V

**約40〜50mA流した場合**
自作(定格9V)--- 8.91V
A(定格9.6V)---- 9.78V
B-------------- 10.04V
C-------------- 12.80V
D-------------- 12.65V
E-------------- 12.84V
F------------- 12.46v

という結果でした。これくらい差があると音が違って当然という気がします。
BからFは定格9Vのはずの市販品です。いずれも電圧は高いです。

ノイズが少なかった A(定格9.6V)は電圧の誤差も安定度も良好です。
B はまあまあです。
C は負荷によって電圧が変動し過ぎです。
D はちょっと電圧が高めですが、なんとか使えると思います。
E は電圧変動は少なめですが、ハムノイズが多くてダメです。
F はEと同様で、ハムノイズが大きくて使えません。

負荷の変動によって電圧変化が大きいものは、1個のアダプタに複数のエフェクター
を接続する場合、注意が必要です。エフェクターの個数を増やしていくと電圧が
どんどん下がっていって音が変わってしまいます。
普通に考えて絶対に A が良いですね。
ノイズが少なく、電圧も適切であり、負荷の変動による影響が少ないです。
A についてはまだ1個しかテストしていないため、複数の個体を試してみて
もし結果が良ければ製品名等お知らせしようと思います。
もう少し時間をください。

なにはともあれ電源アダプタにはご注意を!
よろしくお願いいたします。
(2005.4.6)


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モデリングの新潮流 Eric Clapton Crossroads


モデリングはとうとうピンポイントの狙い撃ちになってきました。
エリック・クラプトン Crossroads は、アーチスト名をかかげるだけではなく、
プリセットが「曲名」であったりして、その新しい潮流を象徴するもののように
思えます。
デジテックから発表されたこのエフェクターはクラプトン本人とギターテクの
リー・ジャクソンによって監修されているそうです。
幸いなことに入手出来ましたので報告いたします。

****MODELとCTRL****

コントロールノブは4個です。
LEVEL、CTRL1、CTRL2、MODELです。
CTRL1、CTRL2 はMODELによって異なった役割が与えられています。
プリセット(MODEL)の内容を書いておきます。
               CTRL1  CTRL2
(1) Sunshine of Your Love (1967) Distortion Gain Tone
(2) Crossroads (1968) Distortion Gain Tone
(3) Badge (1969) Overdrive Gain Leslie Speed
(4) Layla (1970) Distortion Gain Tone
(5) LayDownSally (1977) Distortion Gain Tone
(6) Layla Unplugged (1992) Body Amount Reverb Level
(7) Reptile (2001) Overdrive Gain Reverb Level

出力は2系統あって、AmpとMixer用です。基本的にモノですが(3)と(6)は
両方のアウトを使ってステレオ出力になります。

****音を出してみる****

ギターを繋いで音を出してみます。どれくらい書いてある音の再現性があるのか
興味深いところでしょうが、使用ギターを色々かえてみると、それにともなって
当然ですが音が変わります。ということは、このプリセットの再現には、まず
それなりのギターを使用しなければならないのではないでしょうか。
またアンプの状況も異なるわけですし、書かれている曲のサウンド再現はかなり
限定された環境下で実現されるということだと思います。
僕は基本的に、音が何かに似ているというようなことに、あまりこだわりは有
りません。
自分達が直面しているシーンでベストな音が出せればそれでOKだと考えています。
従って、このエフェクターにおいても、使える音が出しやすいのか、グっとくる
音が出せるのか、ということだけが興味の中心になります。各プリセットの名称
はそれぞれのサウンド傾向の「象徴的な愛称」として理解した方が良いと思って
ます。

(1)はミッドレンジを強調したものです。このような音はよくワウをオンにし
てどこかに固定して作ることが多いです。これが簡単に得られるのはちょっと嬉
しいです。
このサウンドをいかそうと思うとトーンの設定が重要だとおもいます。楽器の
トーンコントロールとCTRL2のトーンではその働き方が異なりますので、楽器の
トーンをうまく使えれば良いなあと思います。可能であればピックアップの負荷
を重くして音色を調整するという工夫も有効かも知れません。(例えばレスポール
などでピックアップセレクターをセンターにします。そして、どちらかのVOLを
どんどん絞って、音がなくなる寸前2とか3にセットします。
トーンコントロールを絞るのとは異なった感じの音が得られます。経験ではリヤ
側を絞り込んでいくとかなり良い感じになります)

(2)鋭角的な歪み方です。普通に使える上質なディストーションだと言えます。

(3)歪みが特徴的なレズリーサウンド。前述の通りステレオアウトなので、
   アンプを2台使えるとより効果的です。

(4)もともとチャンプで作った音とは思えない太さを持っています。このロー
   の感じは大好きです。アンサンブルの中でバッティングしないように使え
   れば良いのですが。

(5)あまり歪まない感じ。クリーン・クランチでしょうか。CTRL1をあげすぎ
   ると音の形が崩れるように思います。

(6)なんと、アンプラグドの時のアコースティックギターの音になるそうです。
   CTRL1でボディのなり方をコントロールできます。000-42のデータだとか。
   それはともかく、アコースティックギターのシミュレーションとして秀逸
   です。今まで聞いたものの内でベストの部類かも知れません。リバーブを
   ゼロにしても独特の距離感が有ります。本物のアコースティックギターそ
   のものの音とは言いませんが、これはこれとして使える音だと思います。
   ステレオアウトですが、モノでも良い感じです。

(7)適度に歪む渋めな穏やかな音です。リバーブがついているのでムーディー
   な印象です。


****エレアコやベースでも****

全体的な出来として大変気に入っております。電池が約3時間しか持たないのが
残念ですが、パワーサプライが付属していますので実際の使用上は問題有りません。
(パッケージにはパワーサプライの他にピックが1枚とエフェクター用ポーチが
入っています。ポーチはなぜか小さくてエフェクターがおさまりません。なにか
の間違いらしく、ユーザー登録をすれば後日ちょうど良いサイズのものを送って
くれるそうです。
都合2個のポーチが手に入ることになり、かえってラッキーかも知れません)
デジテックの狙いは本当にクラプトンサウンドの再現だったのでしょうか。
デジテックの思惑を覆すものかも知れませんが、僕には、クラプトンサウンドを
離れてごく普通にエフェクターとして、とても使い勝手の良いものに思えるのです。
バリエーションの作り方に納得させられてしまいます。ピンポイントであるように
見せて実はけっこう幅広くカバーしているのではないでしょうか。
ハムバッカーやシングルコイルでのテストが一段落しましたので他のものでも
試してみました。
エレアコ(といってもストラトのピエゾ・ブリッジサドル)を試してみると、
ひと味違ったなかなか使える音です。不要な帯域がうまくマスクされるようです。
それではベースはどうでしょうか。ジャズベースタイプを接続してみました。
これも意外としっかりした音で、面白いです。ギターで使用するより音量が下
がった気がしますがなぜでしょう。
LEVELつまみを少し上げぎみにして試しています。それとセッティングによって
微妙に空気感が付け加わるように感じます。普通のディストーションとは感触が
異なりますがこれも結構好きです。
工夫次第で様々なシーンで活躍出来そうです。次のギターレコーディングが楽し
みです。

****次のモデルは?****

クラプトンモデルの出来が良かったので、これに続くモデルへの期待が大きいです。
GuitarPlayer誌(USA)1月号によれば、エレクトリックレディstで、デジテックの
エンジニアと、関わりのあったエンジニアとで、ジミ・ヘンドリックスのサウンド
の解析をやったそうです。
2ページのルポ記事で、昔のテープからラフミックスを作る様子などがリポートさ
れています。
順調にいけば、もう間もなく発表になるのではないでしょうか。
NAMMショウにはワウペダルの形で出品されていたとのことですが、ジミ・ヘンド
リックスのどのサウンドが実装されるのか、詳細が待ちどおしいです。

****補足 デジタルクリップ****

一般的にデジタル機器ではデジタル部分でのクリップを避ける使い方が求められ
ます。
アナログ部分で歪むのとは異なって、デジタル部分での歪みは汚いことが多いです。
この製品の取扱い説明書でも触れられていますが、「ブチブチ」いうノイズが
発生した時には入力レベルが高すぎる恐れが有ります。もしCROSSROADSの前に
他のエフェクターなどを入れている場合はそれの出力レベルを少し下げてみて
下さい。ギター直の場合でもピックアップの出力が大きすぎるとクリーン系の
プログラムで歪むことが有るようです。楽器のVOLを若干下げればこの歪みを解消
することができます。
デジタル機器を使いこなすにはレベル関係に若干注意深くなることが必要です。
(2005.03.25)


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デジゾウ君に関する2.3の事柄


ひょっとしたら日本発のギターで最も有名なのは「ZO-3」かもしれません。
そのゾウさんの新型を入手しましたので、報告いたします。
Digi-ZO ULTIMA です。

大きく変わった点はスケールがノーマルになったことです。ほぼいわゆるギブソン
スケールになっています。以前のショートスケールも、実はリッケンのショート
スケールに似ていて、密かに好きだったりするのですが・・・・
一般的には今回のものの方が好まれるのかもしれません。某有名歌手のギタリス
トを務めるA氏も「今度のはレギュラーだからすごく欲しい」と言っていました。

スケールが長くなったからでしょうか、それとも大きな基盤を内蔵させるためで
しょうか、ボディも若干大きくなっています。重さは専用ストラップや電池全て
込みで約3.6kgです。
以前のアーム付きゾウさんに皮のストラップをつけた状態で約2.8kgですから、
やはり少しだけ重くなっています。


****いつものような調整****

ストック状態でも良い状態でしたが、僕の好みから、少し手を加えました。
ネック調整、フレットすりあわせ、フレット整形など、いつもの作業です。
ナットは今回は変更せずに、二硫化モリブデンとPTFE併用で潤滑性を高めました。
ストリングリテーナーは現状でも問題は少ないのですが、グラフテックに変更し
ました。メーカー仕様ではリテーナーは1、2弦だけについていますが、過去の経
験から3弦にもつけました。
ブリッジサドルは僕には固すぎるように感じるのですが、とりあえず今回はその
ままで、ナットと同じく二硫化モリブデンとPTFEを塗りました。
チューニングの傾向は大変良く、開放からハイフレットまで満足できる範囲に入っ
ています。

メーカー指定では弦の巻きかたが1、2、3弦は逆巻きです。弦の角度の関係から、
この方が安定性が高いそうです。
しかし僕はこれが好きではないのですべて順巻きに変更しました。上に書きまし
たように各部の滑りを考慮したため、順巻きでもチューニングの安定性は大変良
好です。

それと、これは注意してほしいのですが、メーカーが出荷時に張っている弦は
あまりよくなかったです。単にばらつきなのかもしれませんが、これではこの
ギターの真価が分からないと思います。
出来ればすぐに他の信頼できる弦に張り替えてから、サウンドや各部のチェック
をしてほしいです。この件に関してはメーカーに連絡して改善をお願いしています。

内蔵しているエフェクターは簡単に言えばデジテックのマルチがそのまま入って
いるようなもので、高品質だと思います。プリセットのエフェクト設定はちょっと
やり過ぎかなという感じもしますが、エディットは大変容易ですので、自分の
サウンドを作りやすいと思います。
リズムボックスとチューニングメーターは必要にして十分という感じです。

ピックアップはノーマルのままです。以前のゾウさんはダンカンに変更していて
好評でした。今回もちらっと変更が頭をかすめましたが、現状でフィードバック
が非常に美しくかかるので、それに惹かれて手を付けないことにしました。
ピックアップ高さは、変更する際に注意するように書かれていますが、僕は少し
上げてしまいました。

スピーカーはFOSTEXが使われています。
音量は非常に大きく出来ますがまだ最大音量は試したことがありません。


******改造してみる******

普通に使う分にはこれで大変楽しく使えます。
より拡張して使うことを考えるのが楽しいので、少し改造してみました。
先ほどもフィードバックが美しいと書きましたが、これをもっと生かそうという
試みです。

**まずAUXジャックを配線をはずさずにそのまま取り外します。適当なビニール
  などで絶縁してボディー内のスペースに転がしておきます。(もし必要にな
  れば一応すぐに使える)

**AUXジャックがついていた場所にモノジャックを取り付けます。

**ピックアップから配線がポットに接続され、ポットの中点から基盤に配線さ
  れてます。この中点からパラって、ジャックのホット端子に配線します。
  コールド端子(アース)側はポットのケースからとれば良いでしょう。

これでピックアップの音を独立して取り出せます。音量はポットの内側のツマミ
でコントロールできます。
電源をオンにしなくても音が出せるので、なにかと便利です。


******使用例 1(注) ******
内側のポットは最大にしておきます。本来のアウトジャックには何も接続しま
せん。
まずゾウさん本体の音をディストーションにしておきます。そしてポットの外側
のツマミを最大に上げたときにちょうど気持ちよくフィードバックするように音
量を設定しておきます。
良さそうであれば外側のポットを最小にして本体から音が出ないようにしておき
ます。
次に先ほど作ったピックアップのダイレクトアウトから外部のアンプなどに接続
します。
再確認しますが、内側のポットは最大、外側は最小です。
外部アンプの音色を気に入ったものに調整します。ゾウさん本体の音色とは関係
なく設定できますので、好みに合わせて設定してください。ここでは効果を確認
するために歪んだ音色がおすすめです。
音色が決まったら少し弾きながらロングトーンの箇所でポットの外側をがんと上
げてみます。
ゾウさん本体でフィードバックするとともに外部のアンプからもフィードバック
サウンドが出るはずです。
これは原理的にサスティナーみたいなものです。電磁的にやっているかどうかと
いう違いはありますが。
うまく設定できると面白く使えると思います。気持ちのよいロングトーンや暴れ
たフィードバックサウンドなどなど。


******使用例 2 ******
作ったピックアップアウトのジャックは、逆に考えれば、他のギターのアウトを
ここに接続してデジゾウ君のエフェクターとアンプを使用することが出来ます。
外部のギターとデジゾウ君のピックアップがパラになった状態ですので若干の注
意が必要ですが、やってみればわかると思います。(これも逆手に取ればある種
のトリックプレイが可能です)
デジゾウ君の内側のポットをしぼりきると(パラですので)音が出なくなります。
内側ポットを上げた状態で外部ギターもデジゾウ君も両方とも弾けば音が出ます。

******使用例 3(注) ******
使用例 1でわかるように、2系統の出力として使用できます。
アンプを二台用意して、ピックアップアウトのダイレクトアウトを一台目、本来
の出力を二台目に接続します。
ポットの内側を最大、外側を最小にしておきます。
これで一台目のアンプからだけ音が出ますので例えばクリーントーンに設定しま
す。
次に外側のポットを上げると二台目のアンプが加わりますので、ディストーション
な り、他のエフェクトなり異なった音色を付け加えることが出来ます。
二つの音色の混ざり具合は外側のポットを回して調節するだけですので、操作は
簡単です。
この手法の応用範囲はあんがい広いかもしれません。

(注)使用例1と3では外側のポットが音量の調整であるようなプログラムを選ん
でください。
外側のポットがワウやワーミーなどのコントローラである場合もあります。

いろいろ試していますが、楽しいです。何かの参考にしていただければ幸いです。

(2005.03.12)


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LES TREMを試してみる

lestrem01 lestrem01

LesPaulを使っていて、アームがあったらなあと思うことがあります。
常にというわけではなく、レコーディングのあるシーンで、ここだけに使いたい
と思うことがあるのです。
ビグスビーをつけられれば良いのですが、加工も必要ですし、はずしたときに
ビス穴が残ることになります。
で、何かないかと探していたら、LES TREMというのがありました。
構造はビグスビーの変形ですが、テールピースの代わりに取り付けできて、
ほとんど無加工です。必要なときだけ取り付ければかなり便利そうです。
早速試してみました。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
***セット内容***

トレモロユニット
スプリング
スプリング台座 3種類
ワッシャ 2種類
マウンティングポスト 2種類
6角レンチ 2本

***取り付け方法***

弦をはずし、テールピースを取り外す。
マウンティングポストを回してはずす。
付属のポストはメトリックのM8と5/16-24 があるので、そのギターに
あったものを選んでおく。
とりあえず、金属のワッシャを一枚入れて、選んだポストを取り付ける。
ユニットを後ろ側から入れて、ポストを軽くしめこんで固定しておく。
スプリング台座とスプリングを所定の位置に挟み込む。台座の下に付属の
プラスティックワッシャをいれると、ボディーに傷がつかない。
スプリング台座は3種類の高さがあるので、使いやすい位置にアームがくる
ものを選ぶ。
とりあえずは、真ん中の高さのものを入れて、様子を見る。
スプリング挟むのがうまくいきそうも無いときには無理をせず、ポストを緩めて
ユニットを持ち上げて、スプリングを挟んでからポストをしめ込んでいくと楽に
作業できる。
弦を張ってチューニングする。

***セッティング***

まず、アームの高さを見る。使いやすい位置に無いときは、別の高さのスプリング
台座に変えてみる。
つぎに、静かにアームアップしてみて、ユニット後端とボディとのクリアランス
(隙間)を見る。
ボディと干渉しそうなら、対策を考える。
ユニットを上げたいと思う場合、ポストのワッシャに適度なスペーサーを付け加
えれば良い。
僕の場合、約5mm厚のものを付け加えている。(後述)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

***具合は?***

アームの動きはスムーズで、チューニングの安定性も良いです。
しかし、ぼくのLesPaulでは音がいまいちになりました。
振動系の重さが変わったためか、スプリングが付加されたためかわかりませんが、
弦の振れかたが気に入りません。一概に「悪くなった」とは言いがたいのですが、
少なくとも僕が期待するものとは異なってしまいました。
取り付けの容易さや、動作の大体の具合はわかりましたので、方針を転換するこ
とにしました。

このLES TREMはギブソンタイプのテールピースをもったギターならどれにでも取り
付け出来そうです。
手持ちのギターではSGに合いそうです。
このSGは70年代半ばのスペシャルで、以前から振動系の重量バランスに若干の
疑問をもっていました。LesPaulでの変化の仕方から考えて、ひょっとして、、、
と思って試してみました。
このSGについていたテールピースは82g、LES TREMのユニットは256gです。

結果はバッチリです。音のバランス、特に低音域がグンと良くなりました。
というわけで、さらにつめてみることにしました。
まずスプリング台座は真ん中の高さを選びました。プラスティックワッシャは
はずしてスプリング台座のみにしました。
台座は動くとイヤなので、ごく薄い両面テープで軽くボディトップに固定する
ようにしました。
(塗装面に影響が出るかもしれませんが)

ポスト下部のワッシャはまず金属製1枚で試しました。
乱暴なアーミングをしていたらユニット後端でトップに傷がついてしまいました。
ボディートップが平面なので、干渉してしまうようです。
手持ちの約3mm厚の金属ワッシャを入れてこの問題は解決したのですが、
弦の角度が気に入りませんでした。
結局、約5mm厚の金属スペーサーを作って挟むことにしました。
これでアーム高さも適切で使いやすくなりました。

***チューニングの安定性***

安定性はおおむね良好です。しかし、動作の様子を仔細に見てみると、ブリッジ部
が問題ありそうです。アーミングに従って、ボルトがたわんでいるのがわかります。
ちなみにナットはグラフテックトレムナット、ブリッジはボルトがダイレクトに
ボディに打ち込まれているもので、ナッシュビルに変更してあります。サドルは
グラフテックです。
滑りは抜群によいはずなのですが、それでも完璧ではないようです。ローラータイプ
も試してみたいところです。

アームは回転して、使用しないときは後方に回しておけます。
アームを前に出して使用状態にしたときと、後方に回したときと、微妙に音が
違います。
後方に回したときの方が音の揺れが少ないようです。

***注意点と謎***

アームをユニットに固定している2本のビスが短くて弱いため、ちょっと無理を
すると外れてしまいます。
ビスもバカになりやすいです。(失敗した経験者です)
手持ちのビスの中からちょうど使える太さの長目のものを選び、グラインダーで
長さを調節してがっちり取り付けました。

謎の部分について。ユニットの前面に小さな穴が2カ所あいていて、中に6角レンチで
回せるビスが入っています。穴にはもちろんネジがきってあります。付属レンチの
細い方が、このビスに合います。
しかし、どう考えてみても、このビスが何のためにあるのか理解できません。
そこで、日本の輸入代理店と、アメリカの有力なパーツ屋さんに問い合わせて
みました。
双方の答えは全く同じで「このビスはなんの役にも立っていない」でした。
何故そうなっているのか全く不明です。製造過程でこの穴が必要だったとして、
完成品には不必要なものだったとしても、わざわざネジをきってビスを入れて、
しかもそれ用のレンチを付属させているのです。
ただの穴埋めにしては手が込みすぎています。全く謎です。

***便利かも***

全体的に見て、大変有用なパーツだと思います。不要になったら完全に元通りに
出来るのが良いです。
アームを必要としている方は試してみる価値があると言えます。
日本での定価は¥26000です。

************************************

(2005.02.20)


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VOXとLINE6の新製品


VOXとLINE6から意欲的なコンパクトエフェクターが発表されました。
早速入手してテストしてみました。

*VOX BigBen Overdrive
チューブを低電圧で使った意欲作です。単三4本で約16時間使えるとのことです。
歪み方は大変スムーズで、妙に誇張したところがなく、ブースター的な使い方で
も気持ちがよいです。デジタルのモデリングものの前に入れて使うと、かなり良
いのではないでしょうか。
レンジは少し上側にワイドになる感じで、嫌みじゃない明るさが有ります。以前
発表されていたVOX-VALVETONEはミッドレンジが特徴的でしたが、よりフラット
で素直になったように思えます。
BigBenは歪みが増えるにつれ、若干重心が上に上がっていく傾向が有ります。
が、変に軽くもならず、一般的にはこれくらいのほうが使いやすいのかもしれま
せん。
大幅に歪ませていっても、上品な印象を保っています。誇張されたギンギンさは
あまり有りません。次に紹介するBulldogとのサウンドバリエーションを考えると、
なかなか妥当な作り方だなと思います。ただ、ハムバッカーで歪ませすぎると少
し距離感が出てきてしまうのが残念です。
全体として、僕が制作しているオペレーション2と比較すると、低域の感じが明
らかに違います。考え方の相違として興味深いです。
チューブは12AU7が使われています。12AX7にしなかったところがまたなにかあり
そうで、理由を知りたいところです。ちなみに12AX7でも12AT7でも全くコンパチ
で動作すると思われますので、チューブを交換してカスタマイズするということ
も考えられます。今後が楽しみです。

*VOX Bulldog Distortion
チャンネルが2系統用意されたディストーションです。
これも以前のVox DistortionBoosterとの比較になりますが、考え方が全く変わった
と思います。
基本的にパキッとした新しい感じの歪み方を目指しているように思います。以前
のようなオーバードライブからの進化型といったものとは一線を画していると思
います。
歪ませていったときにレンジが上にシフトされていく傾向はBigBenと同様です。
これが歪み方の上品さにつながっているように思います。大幅に歪ませたときに
もきらびやかで華麗な印象で、暴れた荒い感じはあまり出てきません。
試みに僕が愛用しているLEDが 無いタイプのRATやSovtek-BigMuffと弾き比べて
みると、その考え方が全く異なっているように感じます。
この辺りは、やっている音楽やアンサンブルの中でどう活きるかという問題であっ
て、どちらが優れているということでは有りません。プレイヤーが何を望むのか、
です。
Bulldogのコントロールはわかりやすく使いやすいです。
ノイズが少なく比較的静かである点も好感が持てます。
チャンネル1は比較的素直な歪み方で、チャンネル2はVoiceコントロールがつい
ているぶん、いくらか色付けされた特徴的なサウンドを得られるようになってい
ます。Voiceでの可変範囲は広めですが、しかし、サウンドの「色」の主眼はあく
までミッドハイ以上であるように思います。
チューブに関してはBigBenと全く同様です。チューブの違いによる歪みの差なん
かもテストできたら面白いと思います。

Bigben,Bulldogとも電池使用時は6V駆動で、アダプタは9Vのものを使います。ど
うしてそうなっているのかは不明です。電池駆動時の使用可能時間から考えて、
単三4本を使用したかったのかもしれません。6本積んで9Vにするスペースは無かっ
たのかも。いずれにしても実用性で考えればアダプタは必須だと思います。消費
電力が大きいので、良質なものを電源容量をよく考えて使用したいものです。
またバイパススイッチは双方ともトゥルーバイパスです。

価格
BigBen Overdrive  21,000
Bulldog Distortion 23,000
(いずれも税別)



*LINE6 Constrictor Compressor
なかなか優れたコンプレッサーです。今まで使った楽器用コンプの中でもかなり
上位に入るものです。動作が安定しているのが嬉しい点でもあります。音色はア
タックとリリースの時定数設定の差で3種類用意されています。しかし、実際に
弾いてみるとその差は時定数だけではないような感じがするのは気のせいでしょ
うか。Compact、Squeze、Mellowはそれぞれに適切であり、気持ちよく使い分ける
ことが出来ます。エフェクター内部から発生するノイズが非常に少ないのはデジ
タルだからでしょうか。大変よいです。さらに特筆したいのはGATEです。基本的
な設定がうまいのか、かなり気持ちよく使用できます。コンピュータモニタの真
ん前で仕事していてもよい感じにノイズを押さえてくれます。これは本来のコン
プということを離れても使い途が有るかもしれません。
お勧めしたい1台です。

*LINE6 Crunchtone Overdrive
これにも3種類の音色が用意されています。それぞれの音色のモデリング元につ
いてはマニュアルを見てください。デジタルの歪みものは使う人の好みによって
大きく評価が分かれます。僕個人は決してオールマイティーとは思いませんが、
使用シーンによっては存在価値があるように思ってます。そういった意味でこれ
はよく出来ていると思います。歪みを上げていったときの暴れ方とかうまいなと
思いました。GATEはOFFと1と2でプリセットの選択だけです。コンプに採用された
ような連続可変でもよかったのかなと思いますが、そうもいかない事情も有るの
でしょう。GATEのプリセットの設定は僕の環境では適切に思えました。

*LINE6 UberMetal Distortion
基本的な形はオーバードライブと同様ですが、さらにミッドレンジのコントロール
が加わっています。
使い方としてはここのところが肝になるかもしれません。歪み方は全く「今」の
ものだと思います。ひどく歪んでもあっさり聞こえる部分も有るというような、
まさに好みに左右される部分です。好みの如何を問わず、仕事では結構使う種類
の音かもしれません。

*LINE6 TapTremolo
モードが3種類あるトレモロマシンです。オプチカルとバイアスの差をこういう
形で出されると動揺してしまいます。
弾く強さに反応するpeekのコントロールは馴れが必要ですがかなり有効です。
フットスイッチは軽く踏んだときと強く踏んだときで、それぞれtapとエフェクト
のon-offです。これも馴れが必要かもしれません。

*LINE6 Space Chorus
これも3モードのコーラスです。Triコーラスとヴィブラートはかなり好きです。
フットスイッチはトレモロと同様です。

*LINE6 EchoPark Delay
小さな筐体に数多くの機能を盛り込んだディレイです。基本的にこれまでのLINE6
のディレイものを小型にしたようなものなので、特に書くことはありません。
今までのものを使ったことが有れば、何の違和感も無いでしょう。
フットスイッチは上記と同様です。

以上LINE6の6機種ですが、さすがに大変立派な出来だと思います。ダイキャスト
ボディが非常に重いところは評価が分かれる点かもしれません。電池に関しては、
ちょっと無理だと思います。電源アダプタは必須です。これも消費電力が多いので、
何個もつなぐときには、電源容量をよく考えた方がよいと思います。
アダプタジャックが日本仕様になっているので使いやすいです。

以上簡単ですがリポートさせていただきました。
(2004.12.25)


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実戦的ブリッジ調整についての考察(改訂版)


 ブリッジ位置の調整について本編中に書きましたが、あくまで適切に設計され
た楽器を前提にしているため、何らかの不具合がある楽器でどうしてよいかわか
らない、というお便りをいただく事があります。そこで、今回は、より実戦的な
ブリッジ調整について書いてみます。

 ナット位置等の設計が悪い場合、「単純にオクターブ調整」すると悲劇的なこ
とになる、と本編中に書きました。「オクターブ調整」という言い方そのものが
誤解を招くものなので「ブリッジ調整」と言い換えておきます。開放とオクターブ
上をあわせるというのを絶対的な条件にすると、はなはだ都合が悪くなることが
あるからです。ナット位置等が適切でないギターでこういう調整をすると開放と
オクターブ上だけが合っていて、他の20箇所ぐらいは狂っているという状態に
なります。(ギター全体では12箇所だけあっていてそれ以外の120箇所ぐら
いが狂っている)

 そこでもう一度ブリッジ調整の本来の役割をよく考えるとより実戦的な方法が
見つかります。それは、ナットの位置がどうであれ第1フレットから最終フレット
までを利用して、適切なブリッジ位置をわりだそうというものです。この問題で
お悩みの方は是非お試しください。

**ネックをまっすぐに**

 まずネックをできるだけまっすぐにします。この件についての考察は本編を参
照してください。くれぐれも無理をしないように。

**カポを使う**

 第1フレットにカポをします。それで開放のピッチをあわせてください。カポ
無しのときより半音上であわせることになります。カポのせいで弦が滑りにくく
合わせづらいかもしれませんが、調整する間だけですので我慢してください。
 開放が合ったらつぎにハイポジションをチェックします。自分が弾くと思われる
もっとも高いフレットで押弦して、これが正しいピッチになるようにブリッジ位置
を調整します。オクターブ上で合わせる、この場合は第13フレットになりますが、
それでも勿論かまいません。どこで合わせても、作業のしやすさが多少変わる程度
で、最終的な結果は同じになるはずです。
 1カポのまま開放とハイポジションのピッチをチェックする。これの繰り返しです。

 全部の弦を合わせたら、1カポのまますべてのポジションのピッチを確認して
みましょう。ネックの状態にもよりますが、ほとんどの場合かなり良い状態になっ
ているはずです。これで納得できる状態になっていればつぎに進みます。
 もしフレットによって大幅なばらつきがあるようなら原因を追及してください。
もし誤差が微少であるならブリッジ位置をほんのわずか調整して全体的なばらつき
が最小になるようにしてください。

**カポをはずしてチューニングする**

 カポをはずします。これでチューニングするわけです。ちょっと面倒ですが、
第1フレットや第5フレットなど任意のポジションで弦を押さえた状態で行ない
ます。
 押弦の仕方や方向でピッチのばらつきがでるかもしれませんが、訓練で安定す
るようになります。押弦の感じはあくまで曲を弾くときの力と方向が基本になる
と思います。
 チューニングができましたら、また全フレットをチェックしてみてください。
いかがでしょうか?もし必要なら、ブリッジ位置の微調を行ってください。

 この調整がうまくいくと開放のとき以外のすべてのフレットで満足できる範囲
に入ります。つまりすべての音のうち開放の6箇所以外は全て良い状態になるは
ずです。本来の「ブリッジ調整」はこのためにあるのです。
 それで、開放が合うかどうかはナットが適切に設計されているかどうかにかかって
います。僕が本編で書いているような設計をしていれば開放も勿論合うはずです。
 では、そのまま開放のピッチを確認してみてください。もしそこに狂いがある
とすれば、それがナット位置不良、ナット形状不良、ナット高不良によるピッチ
差なのです。この差があるということは、いわゆる「オクターブ調整」の方法で
チェックすると、「オクターブ調整」が狂っているという結果がでることにもな
ります。
 しかし誤解しないでください。問題は「ナット」にあるわけで、「ブリッジ」は
適切に調整されています。「ブリッジ調整」はすでに為されたのです。やるべき
作業はナット調整なのです。

 このあたりが 

{ 単純な「オクターブ調整」という言い方は誤解を含む }

 と僕が思うゆえんでもあります。

 「オクターブ調整」はチューニングメーターなどが一般的じゃない頃、
オクターブ関係を参考に「ブリッジ調整」していたことの名残だと思っています。

**実際の使用は?**

 前項での開放のピッチ誤差を記憶してください。実際の使用時には開放をその
誤差に合わせてチューニングするわけです。それで開放以外は全てあうことにな
ります。
 あるいは面倒でなければチューニングしやすいポジションで押弦してチューニング
してください。これでも開放以外は全てあうことになります。

 繰り返しますが、この状態でナットが適切であれば、開放のピッチも正しくな
るはずです。

**注意点**

 実用上全く問題ないとは思ってますが、厳密に言うと問題がないわけではあり
ません。それに気がついた方は、僕の考えの要点を十分に理解された方でしょう
から、ちょっと工夫して試してみてください。


〜〜〜異なったアプローチでの調整〜〜〜

 上記の方法は、最終的に、開放は無視して、おさえた位置でブリッジ調整をし
ていく、ということにほかなりません。これをもっと簡単に行うことは出来ない
のでしょうか。
 ちょっと見方を変えてみると、ブリッジ調整は全体のピッチ傾向、すなわちロー
ポジションからハイポジションにかけて弾いていったとき、だんだんフラットし
ていくかシャープしていくかそれともジャストなのか、という「傾向」を調整す
るものだということです。これがジャストのとき、ブリッジ位置は適正であると
いうことが出来ます。

 手順は次の通りです。
(1)ローポジションのどこかをおさえてピッチを見ます。
(2)ハイポジションのどこかをおさえてピッチを見ます。
(3)ローポジションよりハイポジションのほうがフラットしているとき
   ブリッジサドルを前(ネック側)に出します。
(4)ローポジションよりハイポジションのほうがシャープしているとき
   ブリッジサドルを後ろに下げます。
(5)ローポジションからハイポジションまでピッチを確認して「傾向」を見ます。
   だんだんシャープしたりフラットしたりしないことを確認してください。
   これがOKであればブリッジ調整は完了です。
(6)チューニングして開放と押弦のときとのピッチ関係を見ます。もしズレが
   あれば、それがナットの問題によるものです。
(2004.5.16)


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最近試したもの


〜〜〜〜LINNのケーブル〜〜〜〜

高級オーディオ製品を作っているスコットランドのLINNのインターコネクター
ケーブルを3種類、ギター用のケーブルとして試しました。アンバランス2種、
バランス用1種です。

* ブラック (アンバランス)
ちょっと細身で柔らかく、取り回しが楽なケーブルです。シールドの網線はシン
プルで、ごくごくオーソドックスな構造です。3mのものにノイトリックのプラ
グをつけて試してみました。
誇張がなく、比較的素直な印象ですが、高域にピークがある感じで、キラキラし
ています。しかし、暴れていると言うほどのものではありません。シングルピッ
クアップで使用してみると、歪み感のあり方がシングルコイルの音を豊かにする
ようで、なおかつギターの特質をよく引き出す感じがしました。価格が安いわり
には使えそうです。(切り売り1m¥1500)
WEBでオーディオファンの評判を見てみると、かなり好意的に語られています。
静電容量は、1mあたり91Pfでした。(プラグつきで測定して、1mあたり
の数値を求めたものです。測定誤差についてはご容赦ください)

* シルバー (アンバランス)
ちょっと太めですが持った感触は柔らかいです。銀色の被覆で、芯線が1本と
2重の網線シールドという構造です。3mのものにスイッチクラフトのプラグを
つけて試しました。
大変素直で、透明感が有ります。ブラックに有ったピークは感じませんでした。
ちょっと弾きではおとなしく感じてしまうかもしれません。が、いろいろなギター
で試してみると、その透明感が好ましいものに思えてきました。重心は少し上め
に感じますが軽すぎることは無く、以前報告したQEDを少し「おとな」にした
感じがします。価格は切り売り1m¥5000です。
静電容量は、1mあたり89Pfです。

* シルバー (バランス)
外形寸法は上記のアンバランスとほとんど同じです。持った感触は少しかため
です。銀色の被覆で芯線が2本と、箔シールド、網線シールドという構造で、ア
ンバランスケーブルとはかなり違っています。絶縁体も素材が異なっているよう
で、見かけは似ていても、両者は全く別の考え方で作られたケーブルだと言える
と思います。3mのものにノイトリックのプラグをつけて試しました。シールド
はループにならないようにケーブルの片側だけでプラグに接続し、ホット・コー
ルド・シールドという形です。
LINNのケーブルには矢印がついていて、何か構造上の方向性が有るのかもし
れませんが、詳細はわかりません。接続は一応この方向を尊重し、シールドはア
ンプ側でアースに落しています。
音はシルバーのアンバランスケーブルに似ていて透明感が特徴的です。さらに中
域の充実感が好ましいもので、力感が好きです。ギター用として考えると、3種
類の中で、これがいちばん好きかもしれません。価格は切り売り1m¥5000
です。
静電容量は、今回の構造でプラグをつけた状態で計測して、1mあたり162Pf
でした。

LINNのケーブルは、全体的に大変好ましいものでした。不思議なことにイギ
リスのケーブルはメーカーが違っても、どこか似た印象が有るように思いました。
たがいに影響しあって似たような音質を追及してしまうのでしょうか。



〜〜〜VOX TONE LAB SE〜〜〜

VOXのアンプに採用されたチューブを使ったプリアンプの新型です。
ビルトインのアンプが出て、次にデスクトップタイプ、そしてこのフロアータイ
プというわけです。

新型がでるたびに改良が加えられるのでしょうか・・・
今のところ、このフロアータイプがいちばん好きです。
大変わかりやすく、直感的な操作ができ、取り説をほとんど必要としません。
ペダルが2本ついているのは本当に便利ですね。
音はこの製品から大幅に変化したように思います。以前からもこのシリーズはと
ても好感が持てたのですが、さらに良くなったと思います。
「良くなった」ということの内容ですが、シミュレーションしているアンプタイ
プ等によく似ているという意味ではありません。もっと基本的な事柄、ギタリス
トの意志と出音との関連がとても良くなったように思えるのです。(弾こうと思
うタッチと出てくる音の落差が少ないということです)
僕が尊敬し信頼する某ギタリストとの意見交換でも、この点は確認しあっています。

価格的にも納得できるものなので、これからシミュレーションものを入手しよう
と思っている方には迷わずお勧めできるもののひとつです。

(2004.05.05)


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読者の声その5 初鹿さん


初鹿さんより「FCON」についてのリポートを頂きましたので紹介させて頂きます。
************************************

『 Fcon 』とは?

■用 途■
ねじ、ボルト用締付け軸力安定化剤
※「軸力」という言葉に馴染みのない方も多いかも知れませんが、
 「トラスロッドを引っぱる力」と考えて差し支えないと思います。

■特 徴■
●締結体ねじ面、座面の界面での摩擦形態を軸力安定化物質により制御し、
 トルク係数の変動を抑制することにより、締結体に生じる軸力を安定化させます。
●トルク係数の変動係数がマシン油に対し最大1/5。
●緩み特性はマシン油と同等以上。
●温度変化によるトルク係数の変動が少ない。

詳しくは株式会社 東日製作所のサイトへ http://www.tohnichi.co.jp/


このFCONをトラスロッドのアジャストナットに使ってみましたので、
その感想を皆さんにお知らせしたいと思います。これはネットリした
透明な液体ですが、拭き取りが少々厄介ですから指に直接つけて
塗るような使い方はお勧めできません。(メーカーによればもし付いた
場合は台所用クレンザーで洗ってほしいとのことでした)

●ネジ山はクリーンな状態に●

まずギターのネジに限った話しではありませんが、FCONを使う前に
ネジ山&接触面はできるだけクリーンな状態にする必要があります。
(高いギターもペイントのカスなどが残っている事は珍しくありませんね)
ネジ山を傷めない程度に、あらゆる手段で汚れを除去しておきます。
またアジャストナットの接触面には深いキズが付いている事もあると
思いますが、予めヤスリ・ペーパー等を使って修正をしておきます。
当然ですが鉄粉が残っていては意味がありませんから、私の場合は
ピンセットに巻いたウエスにアルコールをつけて数回拭きました。

●ロッドにも「チューニング」の観点を●

ネジ山に異物が挟まっている場合、摩擦がそこで集中してブレーキが
掛かった状態となり、これが軸力の発生を不安定にしてトラスロッドの
調整を難しくしてしまいます。トラスロッドにも「チューニング」するという
観点があれば、この部分はマシンヘッドにあたりますからもっと慎重な
ケアがされてもよいはずです。

●「しっとりした」感触●

ナットが引っ掛からずに回る事を確かめてから、いよいよFCONを塗り
ますが、ネジ山だけでなく強い摩擦力を受ける座面にも必ず塗ります。
軽く締め込んでみると「しっとりした」締め味があります。それでいて変に
動きが軽過ぎることもありません。ネックの状態を見ながらの本締めに
入ると、従来のカックンとブレーキが掛かるような「乾いた」感触から、
手加減でジワリと止められる「しっとりした」イイ感触に変わりました。

●快適な調整作業●

これで調整が詰めの段階にある「締め足りない&緩め過ぎ」のジレンマ
から開放されて、実に快適な調整作業ができました。何の自慢にもなりま
せんが、私はベースの調整中に高価なPBのオフセットドライバーの先を
折ってしまったことがあり、長年トラスロッド調整恐怖症のトラウマに苛まれ
ていましたが、このFCONと出会って遂に克服することも出来たのです。
ボトル1本で900円程度ですから、皆さんもぜひ使ってみて下さい。
お求めは全国のアストロプロダクツで。
http://www.astro-p.co.jp/

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★初鹿一大さんのプロフィール(ご自身の書き込みです)
1965年 埼玉県川口市に生まれる
日本ギター製作学院からの就職先はカギ屋
現在は会社勤めの深夜&週末リペアマン
定年後にプロデビューを目指している?らしい
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

************************************

ありがとうございました。皆様からギターにまつわるいろいろなお話をお聞かせ
願えると幸いです。
(2004.02.05)


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Aleatorik取扱説明書


operation


Aleatorik Protoのプレゼント応募は締め切りました。多数のご応募ありがとう
ございます。
以下は取扱説明書として書いたものですが、何かの参考にしていただければと思い
掲載させていただきます。

************************************

Aleatorikについての二三の事柄  By 寺田仁

Aleatorik「Operation1」「Operation2」「Operation3」「Operation4」を
入手していただき、ありがとうございます。
歪ませても奥に引っ込まない、ポーンと前に出てくる音を目指して設計製作しま
した。
実際、他のメーカーの歪み物と比較して、同じレベルならば、より強い存在感で
前に出てくるように感じられるのではないかと思います。
アンプに接続しての使用は勿論、特にプロツールズ等でラインで録るときにも、
大いに威力を発揮しています。既にプロミュージシャンの皆様から大変ご好評を
いただいております。
簡単ですが、Aleatorikについて、いくつかの事柄を記しておきます。何かの参考
にしていただければ幸いです。

(1)コントロール

*V ヴォリューム     エフェクターからの出力の大きさを調整します。
*T トーンコントロール左に回すと低音が強調され、右に回すと高音が
強調されます。
*D ドライブ歪み方を調整します。楽器の出力の大小に
よって設定位置は変わります。一般的に言って、
ドライブはあげすぎないほうが無難です。
もちろん暴れた感じを望む場合はこの限りではありません。

はじめて使う場合は、とりあえずトーンとドライブのノブを真上にして、Vを3時
ぐらいにしておいて音色の感じを聞いてください。あとは希望の音になるように、
各ノブを回してみてください。

「Operation1」ブースタープラスです。ドライブをあげるとソフトな歪みが付加されます。
「Operation2」比較的素直な歪みを持ったオーバードライブ的なものです。ちょっと渋めな感触
です。コード弾きでもあまり濁らないので、使いやすいと思います。
「Operation3」ドライブの設定でいくつかの性格の歪みを得られるように考えたものです。
歪み方は素直なものから、複雑なものまで、連続的に変化します。
あまり歪まない設定にしてプリアンプ的にも使えます。この使い方はベースプレ
イヤーに好評です。
「Operation4」いわゆるファズ的なものです。暴れた歪み方と、息をのむようなフレーズの起伏
が特徴的です。
ギターの出力の大きさにもよりますが、ドライブは最小から真上ぐらいまでの範
囲がお勧めです。それ以上の設定は特殊用途に対応できるように幅を持たせたも
のです。

(注)発振しにくいように考えていますが、DやVを上げすぎると発振する場合が
有るかもしれません。特殊な効果をねらうとき以外は発振しない範囲でお使い下さい。

(2)アダプタージャック
一般的な9VのACーDCアダプターを接続できます。外側がプラス、中央がマ
イナスです。
しかし、アダプターによって動作状態が大きく異なる可能性がありますので、出
来れば006P乾電池を使用することをお勧めいたします。電力消費は非常に少
ないです。実測で、よくあるディストーションやオーバードライブの5分の一ぐ
らいです。仮に多少のバラツキがあったとしても、電池は大変長持ちすると思い
ます。
電池の場合、インプットジャックが電源スイッチになっています。モノプラグを
接続することで、電源がONになります。アダプターを接続しているときはこの
スイッチがバイパスされますので、常に電源ONになります。

(3)接続
INにギターやベースなどの楽器をつなぎます。OUTにアンプや、ライン取りの
DIなどをつなぎます。接続するケーブルのプラグの汚れを取って、常に良好な
接続状態が保たれるようにしてください。特に何らかのノイズが発生する場合、
まず第一にプラグの清掃をしてみてください。

(4)フットスイッチ
基本的に3PDTを使って、トゥルーバイパスにしてます。3PDT仕様では
エフェクトOFF時にエフェクト部の入力がOPENにならないように抵抗で
アースに落しています。信号ラインの接点数は2回路分です。

場合によってDPDTでトゥルーバイパス・プラスFETーLEDや、DPDT
で入力パラレルを採用しています。

FETーLED回路 は、エフェクトOFFのときはOUTの回路に接続されて消灯
し、ONのときは回路が切りはなされて点灯します。両方の状態ともその時使用
されている信号ラインとは独立していますから、影響がほとんどありません。
トゥルーバイパスで信号ラインの接点数は2回路分です。

入力パラレルのものはエフェクトの入力が常に信号ラインにぶら下がっています。
しかし、インピーダンスを高めに設定しているため、エフェクトOFF時も影響
が少ないと思います。信号ラインの接点数は1回路分です。ある意味、有利な部
分もあって、僕個人は捨てがたく思ってます。
(一昔前のエフェクターには入力インピーダンスが非常に低いものや切り換え回
路に問題があるものが見受けられ、トゥルーバイパスへの改造が必須と思われる
ものもあります。)

それぞれ使用スイッチの音質や接点数の影響があって、どれがベストとは言い難い
です。使う方の好みにもよりますし、実際に試してもらって選んでいただくほか
無いように思っています。

(5)パーツと回路
僕が作るものが常に同じパーツや回路とは限りません。その時入手できたものや、
ある思惑で変更している場合があります。基本的な考え方として「一点物」を
作っているようなかんじです。ですから、実際に目の前にあるもので判断して
いただくしかありません。今後もどんどん発展・改良されていく可能性があります。
Aleatorik(「偶然性を容認する」というような意味ですが)の名前に免じて、
お許しいただければ、と思います。
いまのところJACK,FOOTSW,はCRYO処理をしたものをメインで使用しています。
(一部の特別な物にはそれ以外の物も使用していますが。)

(6)配線
配線材は、トーンが違うものをいくつか組み合わせて使っています。CRYO処理を
施したノーザンエレクトリック1976の物をメインで使用して、それに適材と思わ
れる銅線や銀関係を組み合わせています。大変面倒ですが、一部の配線は線材を
パラレルで使用しています。各配線材は今後安定して入手できるかどうか不明で
すがとりあえずは現状の組み合わせでいくつもりです。
各配線・パーツの足などは出来る限り端子にガッチリ絡げて、ハンダはそれを
保持するという目的だけに使用している感じです。
時間がかかり、見かけがあまり美しくなく、あとからのパーツの交換も大変困難
ですが、こうすることで良い結果を得られるような気がしています。
各ハンダ付け部は洗浄して保護の意味でペイントしています。

(7)連絡先
Aleatorikでは保証期間は特に設けていません。僕個人で何かを保証するという
のは大変難しい状況です。現況を納得して入手していただく、というのが基本です。
ご了承いただければ幸いです。
故障修理等に関してはお買い上げの楽器店、または
HUMAN GEAR
Voice 81-3-5450-6178
FAX 81-3-5450-8939
http://www2.gol.com/users/yagi/
にアクセスしてください。
消耗品の不良については有料となります。
なお、某エフェクターメーカーでの故障修理の80%以上は、消耗した電池の取
り替えだそうです。故障かなと疑ったら、電池のチェックをしてみるのが良さそ
うです。
次に多い故障はFOOTSWの不良です。これは踏みつけて使用する部分なので致し方
ないかもしれません。
もっと機械的に強い部品が登場してくればよいのですが・・・

ご意見やご希望、その他ご感想等のご連絡をいただく場合は
jterada@air.linkclub.or.jp
にお願いいたします。
また、ギター調整やピック、ケーブル、ハンダなどに関する情報は
http://www.geocities.co.jp/MusicStar/7571/
に掲載しています。是非アクセスしてください。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

************************************

(2004.02.01)


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Aleatorikについて(プレゼントの募集は終了しています)


遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
気がつけば100000アクセスを越えていました。ありがとうございます。
そこで、100000アクセスを記念してプレゼントを考えました。

先日ヒューマンギヤの八木さんから、「エフェクターを作ってみないか」とお勧めが有りました。
じつは僕はバンド活動当時からエフェクターを自作していました。かれこれ35年前のことです。
それから楽器メーカーに入ってエフェクターやアンプやギターの企画開発をしていました。

MIXERになってからも自分自身の研究のためにいろいろなものを自作してきました。
八木さんはそのあたりのことを知っていて、一般に使ってもらえるものを作ってみないか
ということでした。

試作してみると幸いにも好評で、既にプロミュージシャンに使っていただいております。
製品はたぶん早い時期にヒューマンギヤから発売されます。価格その他、詳しくは
ヒューマンギヤのHPや、雑誌広告をご覧いただきたいと思います。
製作するのは僕一人ですので、製作できる数は少ないと思います。月15台前後でしょうか。
本業との兼ね合いで予測はつきません。
ブランド名はAleatorikとしました。現代音楽の用語で「偶然性を容認する」というような
意味合いです。(語源はラテン語で「サイコロを振る」ということらしいです)

今回製作したのは次の4機種です。
「Operation1」 ブースタープラスです。ドライブをあげるとソフトな歪みが付加されます。

「Operation2」 比較的素直な歪みを持ったオーバードライブ的なものです。ちょっと渋めな
        感触です。コード弾きでもあまり濁らないので、使いやすいと思います。

「Operation3」 ドライブの設定でいくつかの性格の歪みを得られるように考えたものです。
        歪み方は素直なものから、複雑なものまで、連続的に変化します。
        あまり歪まない設定にしてプリアンプ的にも使えます。この使い方はベースプレ
        イヤーに好評です。

「Operation4」 いわゆるファズ的なものです。暴れた歪み方と、息をのむようなフレーズの
        起伏が特徴的です。
        ギターの出力の大きさにもよりますが、ドライブは最小から真上ぐらいまでの範
        囲がお勧めです。それ以上の設定は特殊用途に対応できるように幅を持たせたも
        のです。

で、100000アクセス記念として、試作品を1台プレゼントしたいと思います。
「Operation2」かまたは 「Operation3」のプロトタイプのどちらかをご希望で。
市販予定品とは異なっていますが、製品の方向性は理解していただけるものだと思います。

ご応募はjterada@air.linkclub.or.jpに「プレゼント応募」というタイトルでメールをください。
抽選で1名様にプレゼントいたします。当選された方にはメールでご連絡差し上げます。
締め切りは2004年1月31日です。

では よろしくお願いいたします。

                    2004 旧正月  寺田仁 (2004.01.16)


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読者の声その4 "S.T"さん


*** ハンダの成分による音質変化について ***

少し違った視点で、ということでハンダについてお知らせします。
以前、防衛庁関係の製造の仕事をやっていた時期が長くありました。F社経由の
孫受けなんですが品質管理には泣かされ、、もとい勉強させられました。注文書
をみると品名がなかなかスゴイものがあります。電子基板やハーネスの製造が主
な仕事です。
そこでハンダ仕事を覚えたのですがその品質をみると半端じゃありません。また
ほとんどの作業はパート従業員がやるのですがその手直しは結局社員がやるため
倍以上の手間と技術が必要になります。そういった経験がありましたのでもう辞
めて10年経ちますが弱電の修理は難無くこなせています。
はんだの種類によって音質の変化がある、、という件なんですがどうでしょう。
成分の違いや含まれるフラックスの違いがある為それが音質を左右するというの
は一見正しいのかもしれません。現場でも常に数種類のハンダを使いわけていま
した。F社の指定ハンダがありましてそれらは支給品なんですが防衛庁からの指示
かどうかはわかりません。ハンダの指定は成分云々というより仕上がったときの
信頼性だと思われます。極端な言い方をすれば信頼に足りる仕上がりが出来るも
のなら何でも良いのではないかと思います。でもこの信頼性というのがクセモノ
で、その時かぎりのものではありません。10年20年と長期に渡って非日常の
現場(究極は戦闘地帯)で使われることがあっても品質に問題が起こらないこと
が大事です。というわけで、一見その場で良く見えてもより深い品質管理が必要
になるんだと思います。
ハンダの種類によって仕上がりは違ってきます。それは成分違い、フラックス違
い、径の違いがあります。使うコテの形状やワット数にもよります。でも慣れた
人間ですとそれぞれの仕上がりを見越して調整が効きます。しかし、毎日何百、
何千箇所もハンダづけ作業をやることがない人には常に一定の品質にもっていく
ことは難しいのではないでしょうか?そのことが、ハンダづけ作業が日常ではな
い人にとってやり易い特定のハンダ銘柄を生み出してしまい、必然的に仕上がり
の品質が良くなり、その結果として音質の劣化を免れていると考えられないでしょ
うか?“ハンダ成分の差”が音質を左右するのではなく、成分によって表れる仕
上がった“ハンダ品質の差”が音質を左右する、と考える方が私には合理的だと
思うのですがいかがでしょう?また、含まれるフラックスが粗悪ですと腐食の原
因になります。それが後々の品質劣化に繋がります。すぐに表れないところがク
セモノです。私がハンダ作業をするときは含まれているフラックス成分を充分飛
ばしてしまいます。また表面に出た分も除去します。
現場ではフロンを揮発させて洗浄させますが、アルコールで代用するのが実用で
しょう。シンナーを1:1で混ぜると取れ易いです。その場合でも後でアルコー
ルで仕上げます。ハンダメッキ(予備ハンダ含)をした場合も同様です。
商売でリペアされている人のハンダ作業を見ても作業そのものは素人レベルの人
もいるくらいです。ちょっと器用な友人がやったものなど全く話しにならず音が
鳴ってる事自体不思議なものもあります。この“音が鳴ってしまう”というのが
厄介です。それで良しと思ってますから。
シールドプラグの場合、シールド網の処理も要所ですね。またアース板の切り欠
きで被覆を巻き付けて固定しますが、ここを締め過ぎている場合も多いです。絶
縁されているのに信号が漏れることがあります。しっかりハンダをしていれば切
れることはありませんからここは軽く被覆がヘコむ程度で良いと思います。
生意気なこと言ってますが普段30WのフェンダーアンプをVol2程度で音を出し
てますがシールドの違いによる音質の違いさえ私にはわかりません。
普段気を付けていることは信頼性です。絶対大丈夫!っていう確信です。逆にい
えばそれがしっかり出来ていれば聴く人が聴けば音質も保たれているのではない
かと考えてます。
いかがでしょう。“5へえ”くらいはいただけましたか?
また違った視点でよりよいものを見るきっかけにしていただけるなら幸いです。

************************************

ありがとうございました。皆様からギターにまつわるいろいろなお話をお聞かせ
願えると幸いです。
(2003.09.27)
*都合により改行位置変更しました(サイト管理人saeco)


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二硫化モリブデンとPTFE(テフロン)


ナットやブリッジサドル部がロックタイプではない場合、簡単なギター調整の中
でも書いてますが、よく滑らせることが必要です。湿性潤滑つまりオイル状のも
のを使えれば効果的なのですが、流れたり埃を吸い寄せたりするので、なかなか
むずかしいです。
そこで、乾性潤滑つまり乾いた状態で滑りをよくする方策を探すことになります。
二硫化モリブデンやPTFE(デュポン社の商標ではテフロン)やシリコンが考
えられます。
最近ぼくは二硫化モリブデンとPTFEの実験を繰り返しているので、いくつか
報告したいと思います。

二硫化モリブデンはエンジンオイル等にも添加されている場合があるのでわりと
知られているかもしれません。モリブデンはとても不思議な金属で、潤滑性を
もっています。皮膜の色は黒っぽい金属色(?)です。
以前試したときはぴんと来なかったのですが、改めて使ってみるとなかなか良い
結果が出てます。以前の実験では他の要因が有ったのかも知れません。
ぼくが試しているのは一般には手に入りにくいメーカーの試供品なのですが、手
軽に試すことも可能です。
自動車用品店に行くとワイパーのコーナーに「モリワイパー」という製品があり
ます。これは本来はワイパーのびりつきを防止するためにワイパーゴムに塗って
滑りを良くする物です。しかし、製品の解説をよく読むと「二硫化モリブデンの
乾燥皮膜を作る」となってますので、目的にぴったりです。塗ることが可能なの
はゴム、金属、プラスティックなどです。「モリワイパー」の形状はペンタイプ
でたいへん使いやすいです。しかも価格が安く、ぼくは¥680で買いました。

一方PTFEは「テフロン加工」の名前で滑らせたいところに多数使われていま
すので、おなじみだと思います。ぼくが試しているのは筆で塗れる液体状のもの
で、溶剤タイプと水性タイプの物の2種類です。これも普通には多量でなければ
手に入りにくいかも知れません。
しかし手軽に試すにはCRCの「ドライファストルブ」があります。スプレータ
イプで速乾性です。価格は¥800ぐらいで、量販店ではもっと安いです。筆塗
りと違って飛散に注意が必要ですが、手軽さにはかえられません。皮膜の色は多
少白っぽい半透明です。
半湿式?みたいな物も自転車用であるようですが、まだ入手できてません。入手
でき次第また報告したいと思ってます。

この二つの潤滑剤では効果に若干の違いがあるように思います。二硫化モリブデ
ンはどちらかというと圧力が高いところで効果的で、PTFEはあまり圧力が高
くないところで効果的なようです。これはあくまでぼくの印象ですので、皆さん
に再検証をお願いしたいところです。
潤滑がうまくできているとき、弦の振動の仕方が変わるように感じます。チュー
ニングメーターで見てみると、弦を弾いてからピッチが安定するまでの時間が短
くなります。とても興味深いことだと思います。コードを弾いたときのまとまり
が気持ちよいです。これも皆さんに検証していただきたい事柄です。

重複して使うのはどうでしょうか?
ぼくの実験ではグラフテックに二硫化モリブデンを塗って、さらにPTFEを塗
る・・というのが一番良いです。


************************************
潤滑剤を塗る際の手順を書いておきます。
(1)ナットの溝やブリッジサドルの形状が滑りやすくなっているかどうかチェック
します。ギター調整の本文を参考にしてください。これが良くないと何をやって
もだめみたいです。ストリングガイドやそれに類するものの弦があたる部分も
チェックしてください。

(2)塗る場所(ナット溝、ブリッジサドル、ストリングガイドなど)を清掃しま
す。某メーカーの手順には「せっけんで洗え」と書いてありますが、ぼくはアル
コールで清掃しています。汚れている場合、定着性に問題が出るようです。

(3)潤滑剤を塗り、よく乾かします。スプレーの場合、余計なところにつかな
いようにカバーしたり、吸い込まないようにマスクをしたり目にはいらないよう
に防護メガネを掛けたりして、十分に注意してください。

(4)弦を張って具合をみてください。チューニングがスムーズにでき、しかも
狂いにくくなっていると思います。音も前述しましたようにピッチの揺らぎが少
なくなっていると思います。

************************************

以上ですが、二硫化モリブデンは別の用途にも使っています。ガタのあるネジ部
などに一種のペイントロックのように使って良好です。乾くと「金属」なので気
分的に良いです。
また二硫化モリブデン・PTFE(テフロン)とも、ほかの動く部分の潤滑にも
使ってみています。ペグシャフトやアーム部などです。気のせいかも知れません
が順調です。使い分けは圧力が大きくかかるかどうか、それぞれの「色」が許さ
れるかどうかによってきめています。
工夫してみてください。

************************************
(2003.09.25)


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高級ギター用シールドケーブルを試してみる


「高級」な一本数万円するケーブルを、何種類か試してみる機会が与えられました
ので、その印象をご報告いたします。これも例によって、なんら客観的なもので
はなく、僕の独断と偏見によるものです。その点をお含みおきください。

テストはフェンダー、ギブソン、クレイマー、エピフォンなどのギターとマー
シャルアンプで行いました。波形、周波数分布などを観察したいものはラインで
プロツールズETCを使いました。ケーブルの長さはだいたい3mが中心で、そ
れ以外のものもあります。テストにあたってはできるだけ先入観を持たないため
にその素性(素材や構造や価格など)を知らないように心がけました。適当に番
号をつけて気が向いたときに弾いてみて後で印象を整理するという形を取りまし
た。
比較したケーブルは高級ケーブル相互の他にジョージL’s、モンスターロック、
オーディオテクニカPCOCC、フェンダー、カナレGS6、等など、手元に
あったもの各種です。

試したものは
・Requisite Audio
・Synergistic Research
・Madrigal
・WE
・TwoRock
・Van Den Hul
・Analysis Plus
・QED
・Cardas
です。

必ずしもすべてが最初からギター用というわけではありません。
いわゆるインターコネクターケーブルにギター用のプラグを取りつけたものも含
まれています。

(1) Requisite Audio ”THE NEW CABLE”
すごく太いケーブルです。太いわりには取り扱いにそんなに苦労しませんでした。
音の感じは「クリヤー」という言葉がいちばん似合います。透明感は好感が持て
ますが、中域の「味」みたいなものはあまり感じませんでした。さわやかさを求
めるには良いかもしれません。アメリカでの価格は12ftで $350となっ
ていますから、¥42、000ぐらいでしょうか。

(2) Synergistic Research
このメーカーからは何種類もケーブルがでていますが、テストしたのがどのタイ
プのものなのか解っていません。
レンジが非常に広く感じます。ハイファイでありながらしっかりした中域は好印
象です。注目するケーブルのひとつです。
テストしたのがこれだけが5mと長かったので、他のケーブルに対してちょっと
ハンディがありました。出来れば3mでもう一度テストしてみたいです。
雑誌で調べますと、ほとんどのケーブルが結構高値です。最高級品には数十万円
するものもあります。腰がひけますね。

(3)Madrigal
有名なマークレビンソンのグループの製品で、型番は不明です。
弾いてみると全く別次元の音で、なんと表現して良いかわかりません。すご〜〜
く良いです。が、あまりに他のケーブルと違いすぎて、なんとも判断がつきかね
ています。ケーブル長が短かった(1、3mぐらい)せいも有るかもしれません。
わかりにくい言い方ですが、輪郭の出方が「高級オーディオ」っぽいです。綺麗
で力があります。好印象なんですが、価格が七万円ぐらいするようなのであまり
気軽に買えないかもしれません。気後れがして正確な価格を調べる気が起きませ
んでした。申し訳ないです。

(4)WE
WEのオールドケーブルで作ったものです。詳細は不明です。
中域の表情の出方がとてもよいです。レンジは狭めなのかもしれません。
製品化されているかどうか知りませんので、まあ参考出品という感じです。
価格も不明です。

(5)TwoRock ”CRYSTAL CLEAR”
クリヤーさを売り物にしているケーブルですが、使ってみて、それよりもむしろ
中域の出方が特徴的であるように感じました。
もう少し感動的であればもっとよかったんですけど、優等生的な感じです。バラ
ンスは良いように思うのですが、売り物のハイの感じが僕にはぴたっと来ないの
かもしれません。 使い込めば好きになるのかもしれませんが・・・
価格は12ftで$169となっていますので、¥20、000ぐらいだと思い
ます。

(6)Van Den Hul ”INTEGRATION HYBRID”
オランダのメーカーです。これは結構好きです。バランスが良く、ニュアンスの
出方が抜群で、音量感も上がって聞こえます。自分の耳を疑って以前からのリファ
レンスケーブルや他のケーブルとの比較を何度も行いましたが、そのたびにうなっ
てしまいました。なんと言うか、音が指についてくる感じがします。しばらく
Van Den Hul で弾いてからほかのケーブルにうつるとちょっと戸惑います。
価格は3mで¥36、000ぐらい。

(7)Analysis Plus ”PRO OVAL”
さわやかで気持ちが良いです。なかなか良いとは思うんですが、物足りなさも若
干有ります。音量感は有るしニュアンスも出るほうなので何が物足りなさの原因
なのかよくわかりません。中域から中低域があまり粘らなくてわりとあっさりし
ているのがそう感じさせるのかもしれません。この音になれてしまえばよいのか
なあ。
価格は10ftで$299となっていますので¥36、000ぐらいですね。

(8)QED ”QNEEX 2”
イギリスのQEDはかなり好きなメーカーです。ちょっと贔屓が入っているかも
しれません。明るくてなおかつ表情があって好きなんです。QEDのスピーカー
ケーブルでも感じるんですが、独特の高域の切れがあって、好印象です。これで
低域の粘りみたいなものがもっとあれば最高なんですけどねえ。上にあがった感
じは少ししますが、でもやっぱり好きなんです。銀のせいかな?
価格は3mで¥20、000ぐらい。

(9)Cardas
これは仕事で訪れたグランドマンマスタリングから入手したもので、バーニーグ
ランドマンさんの名前が入っているとても細いケーブルです。同等品は一般でも
入手できると思います。価格はたしか1mあたり¥4、500ぐらい(?)だっ
たように記憶してます。
ギター用ではないものなので、ハンドリングノイズが少しあります。
音は好きです。QEDと同じようにちょっと明るめなんですが、好みに合います。
特に中域からハイエンドにかけての素直さが気に入ってます。
僕はCARDASファンなので、贔屓がたぶんに入ってますが。
これ以外にCARDASからはギター用のケーブルがでているようなので、是非
試してみたいと思ってます。こちらは雑誌によると3mで$120ぐらいです。


ざっとこんな感じです。これらのケーブルには方向性を持ったものがあります。
素材の方向性や、構造の方向性です。ケーブルに何らかの印がありますので、方
向性を確認して使用する必要があります。しかし、必ずしもメーカー指定の方向
が自分にあっているとは限りません。反対向きも試してみて損はありません。
もし音に違いがあればそれを憶えてください。あまり影響は無い、と思われた方
は気にしなくても良いかもしれませんが。
「高級ケーブル」は、ものによっては、いかにもハイ・フィデリティすぎるよう
に感じることもあります。この辺は、本当に好みの問題で、どれが良いと言うこ
とが出来ません。あくまで「僕はこれが好きだ」という世界です。価格が高いの
で何種類も買って試すことはかなり困難でしょうが、何かの機会に是非試してみ
てください。
ケーブルの音質は実際に「自分で弾いて」音を判断するのがベストです。音のテ
ストはあくまで「自分で弾いて」行わなければならず、他の人が弾いてる音を聞
いても、あまり判断基準にはならないように思ってます。


**ちょっと気になる最近のケーブル(Planet Waves)**
PLANET WAVESというメーカーがあります。ギタリストにはおなじみ
のダダリオのグループです。
ここのケーブルが海外で評判が良いらしいのです。噂ではクラプトンやレニー・
クラヴィッツが使用しているということです。
早速入手して試してみることにしました。楽器店の店頭にあまりおいてなくて新
星堂立川店の須田さんにお願いしてやっと購入することが出来ました。

Gシリーズ
芯線が2本でコールドとシールドを分けていて、高級ケーブルによく見られる構
造です。シールドは片側のプラグのところで接続されており、したがってケーブ
ルには方向性があります。メーカー指定では、プラグに小さく「SHIELDED END」
と書いてあるほうを、アンプ側につなぐことになってます。
音は落ち着いていてハッタリが無く、なかなかいい感じです。コードの混ざり方
が綺麗で、バランス重視の音作りかな?と思いました。ぱっと弾いてグッと来な
くても長い間弾いているうちにだんだん好きになってくるタイプの音かもしれま
せん。
プラグ部などに様々な工夫があってそれでこの価格は驚きです。
Gー10 3m ¥3、100。

CGシリーズ
芯線が一本で、従来からのギターシールドの構造です。とても柔らかくて取り回
しが楽ですが、柔らかいケーブルは軟弱な音がする場合が多いのでちょっと心配
でした。
試してみるとGシリーズとは違ってちょっと暴れ気味の中高域が特徴的です。左
手のスライドやプリングオフ・ハンマリングオンが目立ちそうです。暴れ気味の
感じは嫌味ではありませんが、使用ギターによっては「キャンキャン」した癖が
有りすぎるかもしれません。好き嫌いが大きくわかれそうです。音量感はそれほ
ど無いんですが、タッチによってクリーントーンがクランチ気味になりやすいで
す。場合によっては意図しない歪みっぽさを感じるかもしれません。CGシリー
ズを弾いた後で前述のGシリーズを弾くととてもおとなしく感じます。
CGー10 3m ¥2、000。

AGシリーズ
芯線が一本のタイプで、プラグにミュートスイッチがついています。しかしこの
ことよりも新設計のケーブル素材に期待を持ちました。ハンダレスのプラグを採
用したために、それにあわせてケーブル自体が新設計されたようです。公式の発
表はありませんが、静電容量が非常に少ないらしく、興味津々です。ハンダレス
で切って差し込んでネジを締めればOK(ジョージL’sと同じ方式?)という
のも興味深いです。
ですが、現時点で日本ではまだ発売されていません。したがって入手できていま
せん。残念ですが、入手出来次第この報告に追加することにします。
価格はAGー10 3mで¥3、300らしいです。

(ケーブルのキャパシタンス)
参考資料として各ケーブルの静電容量を掲載しておきます。ケーブルが長くなっ
たときこの静電容量が効いてきます。容量が多いと、要するにトーンをしぼった
のと同じようなことになります。出来れば少ないにこしたことはありません。し
かし、ケーブルの音はこれだけで決まるわけではありませんので、本当に参考程
度という感じでしょうか。

静電容量はプラグがついた状態でそれぞれの容量を測定して、計算で1mあたり
の容量を割り出したものです。測定誤差についてはご容赦ください。

Requisite Audio          94pF/m
Synergistic Research        71pF/m
Madrigal             140pF/m
WE               244pF/m
TwoRock              212pF/m
Van Den Hul            151pF/m
Analysis Plus           200pF/m
QED              130pF/m
Cardas              130pF/m
Planet Waves G           105pF/m
Planet Waves CG          88pF/m
Planet Waves AG          ???


以前テストしたもの
ジョージL’s   太       73pF/m
ジョージL’s   細 黒     76pF/m
ジョージL’s ノーマル赤     77pF/m
ジョージL’s赤に 銀を塗ったもの 78pF/m
メーカー不明 試作品        88pF/m
オーディオテクニカPCOCC   119pF/m
フェンダー無印          119pF/m
SPECTRAFLEX      125pF/m
モンスターROCK        129pF/m
カナレGS6            150pF/m
フェンダー Whirlwind       171pF/m
国産某社             222pF/m


(2003.09.20)


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極私的ハンガリー事情


ここ数年、夏になるとハンガリーを訪問しています。
主目的はハンガリーの友人達が主催するフェスティバルを見ることですが、ハン
ガリーへの直行便が無いため、ついでに経由地周辺もうろうろすることになります。
ベルギー経由だったり、オランダ経由だったり、ロンドン経由だったりその時に
よって様々ですが、今年はパリ経由で入りました。
経由地付近でフェスティバルやコンサートを聴きに行くのが通例でしたが、今年
はフランスではあまり時間をとらず、代わりにルーマニアまで足を伸ばすことに
しました。
総行程約3週間の旅でした。

**カラーカ・フェスティバル**
友人のバンドは「カラーカ」という名前です。ハンガリーのトップバンドのひと
つで、人口1000万人ぐらいの国で100万枚ヒットを飛ばしているという、
超人気フォーク・ポップバンドです。
その彼らが主催するフェスティバルは今年で24回目で、ハンガリー第3の都市
ミシュコルツの古城跡を会場として行われました。会期は毎年だいたい3〜4日
で、出演バンドはヨーロッパ各地から30ぐらいが参加します。出演条件は
「ルーツとして民俗?を持っていること」ということらしいですが、彼らの考え
る民族・民俗はとても幅広く、明らかな商業音楽以外はなんでもありの状態です。

**壁の崩壊後**
あのベルリンの壁崩壊後、ハンガリーの音楽事情も一変しました。従来は音楽を
やるのには「免許」が必要で、体制にとって認め難い音楽には「免許」が与えら
れなかったのです。特にアバンギャルド系は認められようも無く、地下活動を余
儀なくされていました。投獄されたり、音楽活動のために亡命したりということ
も有りました。
それがあの壁の崩壊後、一気に地上に出てきたのです。まさになんでもありの状
態で、すべての音楽が一線上に並んで一斉にスタートを切ったかのごとくに見え
ました。勿論各音楽スタイルの融合やテクノロジーの融合も信じ難い形で、しか
もごくごく自然に行われていきました。
「大陸の音楽は面白い!」ドイツを拠点に活動している中川イサトさんもそのな
んでもありの音楽状況を熱く語ってくれたことが有ります。良い意味で混沌の面
白さが最大限に有ったと思います。

**存在証明**
大ヨーロッパが形成されていくなかで、自らのアイデンティティーとして民族に
向かっていくのはむしろ当然のことかもしれません。各地での民族音楽の隆盛は
このような背景を持っているように思います。民族への意識が排他ではなく、お
互いにお互いの存在を認めあうという共生への存在証明であるような気がします。
或いはそうであって欲しいと思います。このあたりはもろ刃の剣ですから、危険
な排外的民族主義の台頭の兆しはけしてゼロとはいえません。注意深く見守って
いく必要が有ると思っています。

**ハンガリーの生活**
ハンガリーの生活は驚くほど豊かです。市場やスーパーには野菜や果物、肉類な
どの食料品、衣類、オーディオ機器、カメラなどがあふれんばかりの状態です。
大型スーパーは日本でも珍しいくらいの規模で、全く圧倒されます。価格も自国
生産品に関してはとても安いです。ビールはレストランで飲んでも100円くら
い(観光客相手の店では200円以上ですが)で、ついつい飲みすぎてしまいま
す。
コンサートやイベントも多く開催され、入場料は格安です。
ウイーンからブタペストまで約200km、文化的な面ではかなり影響が大きい
ようです。その昔はハンガリー・オーストリア帝国としてひとつの国でした。
旅行者にはこのようにすごしやすいところですが、一般のサラリーマンの収入が
月当たり4〜5万円らしいので、現地の人はそれほど楽ではないのかもしれませ
ん。

**国境ということ**
ついでにルーマニアのトランシルバニアまで足を伸ばしました。
トランシルバニアは以前はハンガリーの一部でした。したがって、そこに住む
人々はマジャール(ハンガリー)人が多く、文化面ではほとんどハンガリーと
いっても良い部分が有ります。音楽は昔のハンガリー音楽が純粋培養されたよう
な形で残っているし、ハンガリー語もかなり普通に通じるようです。同じような
ことはモルドバ地方(モルドバ共和国ではなくルーマニアの一部)についてもい
えるようです。
トランシルバニアの地名を見ると、同じ場所に3つの名前がつけられています。
ハンガリー語、ルーマニア語、そしてドイツ語です。今回いったマロシュヴァー
シャルヘイ(ハンガリー語)はトゥルグ・ムレシュ(ルーマニア語)であり、ノ
イマルクト(ドイツ語)です。
マジャール人と共存していたザクセン人との関係もあるわけですね。
同じようなことはいろいろな場所で見ることが出来ます。
これらの地区を見ていくと彼らの帰属意識はけして国ではないのではないか、
もっと違うところに立脚点が有るのではないのかと思ってしまいます。フラン
ス・スペインのバスク地方の人々がバスク語を話し、国の旗ではなくバスクの旗
を高々と掲げ、またフランス・ブルターニュ地方の人々がブルトン語を話し、
ブルターニュの旗を掲げるのを見てもそう思います。
権力を持った人々が軍事的経済的な理由で恣意的に引いた国境線って一体なんな
のだろうと思うことしばしばです。
周辺のスラブの国々のことを調べていくと事情はまったく複雑で、簡単にものを
言えなくなってしまいます。
ルーマニアの物価は、ハンガリーより更に安く、驚きます。一般の収入はハンガ
リーより更に少なく、3万円前後らしいです。

**言葉のこと**
各国人が入り乱れているフェスティバル会場でコミニュケーションをうまくとろ
うと思うと僕の片言英語ではどうしようも有りません。まわりを見渡してみて、
うまくコミニューケーション出来ている人は自国語以外に3カ国語ぐらいは理解
するようです。オランダ語・ドイツ語・英語・フランス語・・・などから三つぐ
らいです。お互いにどんどん言語をかえていって、最もよく通じるものに落ち着
くといったぐあいです。
ハンガリーの友人達を見ても数カ国語を話しますし、うちの奥さんもフランス語・
ハンガリー語・英語・自国語(日本語)を話しますのでコミニュケーションがう
まくいくようです。
今年の旅の終わりはツール・ド・フランスの最終日をパリで見るというものでし
たが、自転車チームの一流選手もやはり4〜5カ国語を理解すると聞いたことが
有ります。それぐらいわからないと国際的な試合では各国チームの動向を理解で
きないということらしいです。アメリカ人ランスもインタビューではフランス語
で答えていましたね。

**トロイッツア**
フェスティバルに参加していたなかにベラルーシ(白ロシア)のトロイッツアと
いう3人編成のバンドがいます。過去にも参加していたのですが、今年も元気な
姿を見せていました。フェスティバルのあと、ブタペストでの単独コンサートも
行われ、なかなか良かったです。PANレコードから作品がでています。機会が
有れば聞いてみてください。ジャケット写真ではハードな印象を受けますが、実
際の音楽は繊細な面を充分に持ち合わせていて、印象深いです。
トロイッツアの中心メンバーはベラルーシに住んでいるわけですが、マネー
ジャーやツアースタッフはオランダの人です。仕事のたびにおちあって活動する
ので調整が大変なようです。(マネージャー氏はインプロビゼーションと表現し
ていました)
マネージャー氏は数年前に会った時には紛争中だったユーゴに住んでNGOの活
動をしていました。平和のために、民族の相互理解のために、何かをしたいんだ
と話してくれた記憶が有ります。

簡単ですが今年の旅の報告でした。思い違いが有るかもしれませんが、どうか
ご容赦ください。
(2003.08.06)


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オーヴィル レスポールをチューニングする


手がけている某ミュージシャンのオーヴィルレスポールをチューニングしました。

本人の希望はもう少し太めの音になればよいというものでした。
ざっとチェックしますと弦高が不適切で、内部配線に改良の余地がある感じ
でした。

*ネックは若干の順ゾリ
元もとの状態は順ゾリでした。
トラスロッドでまっすぐにしてみましたが、ネックやフレットがかたく感じられ
あまり好きではありません。そこで、僕の調整としては珍しいんですが、若干の
順ゾリ・リリーフで調整しました。
それに伴いブリッジの調整を行いました。弦高は標準より若干低めにしました。
ピッチも調整し、すべてのフレットで3cent以内に入っていると思います。
テールピースは鳴りを聞きながら調整し、結果的にかなり上げました。
ブリッジサドル部の弦の角度は微妙ですが、いわゆるスイートスポットがあるよ
うです。

*二硫化モリブデン
ナットは滑りが悪く、ペグを回すとキッキッと音を立てます。普段ならすぐに
グラフテックに換えるところですが、今回はオリジナルの状態をできるだけ残し
たかったので、別の方法をとりました。
ナット溝のネック側の形状を滑らかにし、さらに二硫化モリブデンを塗りました。
二硫化モリブデンは以前にも一般に手に入りやすいものを試したことがあったの
ですが、その時はあまりピンと来ませんでした。今回はメーカーから原液(?)
の試供品を入手でき、事前のテストでかなり良好でしたので、それを塗りました。
結果は大変よいです。ペグを回しての調弦がかなりスムースです。
ブリッジサドルも滑りにくそうに思ったので、やはり二硫化モリブデンで処理し
ました。
(二硫化モリブデンに関してはまた別のギターでもテスト中です)

*銀塗料と内部配線
パーツを全部はずして、各キャビティに銀塗料を塗りました。
配線はノーザンエレクトリックの76年のものとウエスタンエレクトリックの
70年代の物をおもに使いました。一部銀メッキ線も使用しております。どこに
何を使うかは試行錯誤あるのみです。いろいろ試してみてピックアップからの配
線はノーザンエレクトリックにしました。
銀メッキ線はアース関係のみです。アースは基本的にループが出来ないように考
えフロントVOLのところでの一点アースにしました。
キャパシタは数種類を試した結果オレンジドロップ418に落ち着きました。
ハンダはヒューマンギヤクラシックを使用しました。

*ピックアップ
ピックアップは金属カバーをはずしました。リード線は前述の通りノーザンエレ
クトリックです。
これでポールピースの出方とピックアップ自体の高さを調整して希望する感じに
近づけました。
傾向としてポールピースのネジをかなり締め込んでピックアップ自体をあげると
いう感じです。これもトライアンドエラーです。

*弦
アーニーボールの 010セットで調整しました。

総合的に見て、かなりよくなったと思います。ひょっとしたら次のレコーディン
グに登場するかもしれません。またその時はご報告します。
(2003.05.18)


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読者の声その3 井上貴さん

懇意にさせて頂いているギター製作者Takashi-Inoue Guitars [TIG]の井上貴さん
から、コーティング弦に関するリポートが届きましたので、掲載します。

 ***********************************

さて、コーティング弦ですが・・・
ダダリオEXP16フォスファーブロンズ
EXP11ブロンズタイプ
これを試しています
EXP11の方は、ここ最近手に入れて 「・・というか16が在庫切れなので」 
仕方なく使用しています。
EXP16は、ほぼ1年前から使用しています

とにかく、もちがよく、低音の色艶が2ヶ月は平気でキープできます。そして、
切れない!!
これは、びっくりです
元からはSITのフォスファーブロンズを使用していました。
高い弦だったのですが、実際は、1ステージを弾きとおすと、低音はこもり、き
らきらしていたプレーン弦が、悲しげな雨の日のサウンドと変わってしまってい
ました。
だからこそ、素人ながらステージの前は、リハーサルが終わると、ばちばちと
切って、新しい弦と張り替え出来たのですが・・・

ここ1年は、ステージの前に迷ってばかりです
サウンドが、そんなに劣化しないからです
コストが高いこともあり、「よーーしこのままいくぞ!!」ということが増えまし
た。

そして、2-3ヶ月過ぎて、打ち上げでがしゃがしゃ弾いているとき、やっと3弦が
きれました。

これはびっくりです

好みとしては、低音のきらきら感がすばらしいEXP16を愛用しています
EXP11は、やはり低音のコンプレッションがかかったような感じが頼んなくかん
じて、コードストロークでがしゃがしゃやるのが良いようですね。

ネットでは、12弦 EXP38 も販売しています
時々しか弾かない12弦こそ、この弦のよいところが出ると思います。


[TIG]の連絡先
Takashi-Inoue Guitars [TIG]井上貴
〒979-1754
福島県双葉郡浪江町南津島字大久保37
TEL/FAX 0240-36-2079
g_valley@d2.dion.ne.jp
http://auctions.yahoo.co.jp/jp/booth/guitar_valley
ネット通販のページです

 ***********************************

ありがとうございました。皆様からギターにまつわるいろいろなお話をお聞かせ
願えると幸いです。
(2003.04.08)


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FGZ400をチューンナップする


*このリポートで取り上げたギターの音が、町田康氏のバンド「ミラクルヤング」
 のCDで聴けます。

ミラクルヤングのファーストミニアルバム「ミラクルヤング」03/5/28発売

・M-1「朝日がポン」
 片方のチャンネルで鳴っているのが「FGZ400」。もう片側が某有名メーカーの
 ビンテージギターです。
・M-2「自己紹介」
 ソロ以外のバッキング全て

町田康さんのオフィシャルウェブサイトはこちら http://www.machidakou.com/
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銀塗料のテストで、フェルナンデスのFGZ400を二本用意してもらえました。
同じものが二本手元にあることはそんなに無いので、これを機会にいろいろテス
トしてみることにしました。
一本はそのままに、もう一本には手を加えて、その差を見ようというわけです。

カーボンが塗られた方はそのままにして、銀を塗ったものをチューンナップして
いくことにしました。

チューンナップといっても、主要なパーツを交換したのではFGZ400と別物
になってしまうので、出来るだけ原形をとどめたままというテーマでやってみま
す。

*ネックを調整する
まずネック調整です。手元に届いた時点でもかなりよい状態だったのですが、よ
り良い状態を目指します。出来るだけネックをまっすぐにしてから、フレットの
すりあわせをしました。フレット整形・ネックエッジの整形も併せて行いました。

*ブリッジ調整
トレモロユニットの高さ調整ネジを締め込み、ブリッジプレートがピッタリとボ
ディーにつくようにしました。各ブリッジ・サドルを調整し、標準より多少低め
の弦高にセットしました。
つぎに各ポジションで押弦して、ピッチを確認します。元々の状態とは変えてい
ますので多少の誤差が見受けられます。サドルの調整ネジで合わせていきます。
良い状態になったら、もう一度弦高のチェックです。正しくチューニングして試
し弾きをして確認します。サドルを大きく動かしたときには、弦高が微妙に変化
しているかもしれません。気に入らなければもう一度サドルの高さを調整して、
またピッチの確認をします。気に入るまでこれの繰り返しです。

*ナットの形状を変更する
ナットはおおむね良いのですが、ヘッド側のエッジの出方が好きではありません。
ヘッド側のかどをやすりで少し落していきます。横から見るとヘッド側に軽く
カーブを描いているような感じです。元もとはかなり角ばっているのですが、
削ったあとは、ギブソンのナットに見られるような滑らかな形状です。
ナットの溝にはテフロンオイルを塗ってよく滑るようにしておきました。

*銀塗料を塗る
コントロールキャビティーとピックアップキャビティーに銀塗料を塗ります。配
線が通るトンネルにも塗料を塗ります。コントロールキャビティーは少しはみ出
して塗って、蓋の裏面と導通がはかれるようにしておきます。
キャビティーの蓋の裏側にも銀塗料を塗りました。

*配線を変更する
まずスイッチ以降を変えてみます。WEの単線を使いました。
最終アウトは銀メッキ線とパラです。
アース側の配線はVOLポットに集中するようにし、基本的にここでの一点アー
スの考え方です。
キャパシタはスプラグ418の0.022を使いました。


以上の状態で某レコーディングの現場に持参いたしました。各種高級ギターのな
かで、定価4万円のギターがどういう評価を受けるのか知りたかったからです。
現場にはオールドの60万円、150万円のギターや、某社のカスタム高級ギター
などが並んでいました。そこで試し弾きをしてもらうと、大変好評で、なんと何
曲かの本番でこのFGZ400が採用されたのです。驚きました。
各種ギターと肩を並べそうな勢いです。

チューンしたFGZ400は、もう一本のFGZ400とは違いすぎて、もはや
二本を比較しても意味がないぐらいに思えます。当初の計画はもろくも崩れ去り
ました。それで、もう一本のほうも同じようなチューンをすることに計画変更し
ました。

チューンの方向に間違いがないことを確信して、さらに徹底化を図りました。
ピックアップからの配線も一部WEにしました。
一応その他の配線等を二本とも同じにしてみましたが、どうもしっくり来ないと
ころがあります。
それで、この二本の本来持っている音質(一方は粘りのある重めの感じ、もう一
方はメリハリの効いた感じ;僕が勝手に解釈したものですが)をいかすことを考
えました。
何度かの試行錯誤の結果、一本はWEを中心に配線し、キャパシタはコーネルダ
ブラーを使用しました。もう一本はノーザンエレクトリック(WEの関係会社、
カナダ)の1976年のワイヤーを中心に使用し、キャパシタはスプラグ418
にしました。
また、リアのハムバッカーが弦と平行になるように、エスカッションを削って修正
しました。

この状態でちょっと様子を見ることにしました。二本の音は肌合いが異なります
が、それぞれかなり満足できるものになっております。


*やったことのまとめ
ネックやフレットを調整した。
銀塗料を塗った。
配線を良かれと思うものに変更した。
キャパシタを交換した。
エスカッション修正。

結果として、主要なパーツはもとのままでもかなりよい状態に持っていけそうです。
近日中にフェルナンデスに持ち込んで、さらに細部について検討したいと思って
ます。

(2003.03.23)


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銀の導電塗料 報告 from フェルナンデス


銀の導電塗料についてフェルナンデスからの報告です。

アチソンSP800を入手したときに、いくつかのギターメーカー・工房に
「銀の導電塗料が手に入ったんだけど、テストしてみませんか?」
と言って、一瓶ずつ渡しました。

フェルナンデスでは、音がよく似たギターを2本用意して、一方はカーボン、
もう一方は銀を塗ってテストすると言ってくれました。

そして、その現物と報告が僕のところに届きました。
フェルナンデスの関根さん、実際に作業してくれたフェルナンデス技術部の吉田
さんに感謝します。

************************************

ギターはフェルナンデスオリジナルのFGZ400です。
ピックアップレイアウトはSSHで、1VOL、1TONEです。
カーボンと銀のものを弾いてみると明らかに音が違います。

技術部の吉田さんからのインプレッションは次の通りです。

●ハイ抜けはよくなっている
●ノイズシールド効果は同等
●塗料の性質上大量生産には向いていない(速乾性のため刷毛塗りに難あり、エアー
 ガンを使うとなるとサンバースト/シースルー系ではマスキングが必須となる)

このハイの抜けが良くなっているというところが、音がはっきりするとか、濁り
が取れるとか、伸びやかに聞こえるといった、僕のリポートの感触を決めている
のかもしれません。

ノイズ・シールドに関しては普通の状態ではあまり差を感じないかもしれません。
しかしうんと高い周波数の電波(例えば携帯)からの障害を防ぐというようなと
ころでは差が出るかもしれません。銀の導電塗料の本来の使用目的はその辺りに
あります。スタジオではときどき携帯による障害と思われるノイズが発生してい
ます。原因究明が為されているわけではありませんが、どう考えても携帯以外に
原因がないと思われる状況なのです。

ですから、エンジニアによっては、スタジオへの携帯の持ち込みを禁止している
そうです。僕はそこまではしませんので、逆に楽器側で出来るだけ防御したいと
考えています。

作業性の面で、大量生産に向いていない点は、僕達アマチュアにとってみれば最
大の利点にもなります。メーカーが導入できないことをそれほどの苦労もなく実
行できるのですから、思わずにんまりするところです。

銀の導電塗料は、やっぱり良いかもしれない、という思いを強くいたしました。
他からのリポートも届き次第報告させていただきます。
(2003.03.06)


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読者の声その2 j-iさん


お読み頂き有り難うございます。
読者の方からいろいろなコメントをいただいております。
とても参考になると思うので紹介させていただきます。

その2は j-i さんからのリポートです。

************************************

「ピック」の話が面白く、私も思うこといろいろとありまして、リポートさせて
いただきました。

***クレイトンのピック***
「鼈甲風」というのは知らないのですが、「HUMAN GEAR CO.,INC」というのを
使ってます。
「CLAYTON」と書いてあるから、クレイトン製...ですよね?
ちょっと堅めのプラスチックという感じ。薄茶色です。
落とすと乾いた音がします。
「人間の爪で弾いた音に似ている」というキャッチフレーズのようです。
とても気に入っております。


***滑り止めについて***
「TORTEX」ですが、私にはちょっとすべって使いづらい感があります。
いまいちだったんですが、最近「Scotch クリアーテープ(18mm*35m)」とい
うのを貼ってみたところ、格段に弾きやすくなりました。
(Scotchの回し者ではありません)
前述のクレイトン製ピックもちょっと滑りやすいので貼ってます。
フィット感、最高です。
(汗をかいたらどうなるか、は、ちょっとわかりませんが)


***スプリーム・ピック***
白のピックで、ちょっと半透明っぽいピックです。
デルリンに似てますが、違う素材だそうです。
新素材のピックの例に漏れず、耐摩耗性に優れているようです。
FERNANDESやTerry Gouldなどから出ているようです。
弦離れが「プリン」とした感触があり、なかなか気に入ってます。
最近、FERNANDESのモノは形状が変わり、普通の三角オニギリ型から
「TORTEX」に似たとがった形になってしまいました。
なんでかな? 以前の方が使いやすかったような...。
欲を言えば現行のモノと以前のモノとの中間辺りの曲線が欲しい...。

ピックのフォルムと弾きやすさと音の関係って、やっぱり何かあると思うんで
すが...。そういう研究って、あるのでしょうか?
メーカーは、どういう理由でデザインしているんでしょうね?(笑)


***金属製ピック***
私も買ってみました。予想とは全く違う音! いいですね。
この音をどう使うか考えるのも楽しいです。


先日、池袋にあるリペアショップにギター調整を御願いしました。その仕上が
り具合、感動でした。
物凄く弦高が低い! 弾きやすい!!
いろいろとギターについての奥深い話も聞けて良かった。
そこそこ高い出費ではありましたが(それでも予想より安かった)、充分その
甲斐がありました。 ギターの調整が良いと、ホントに楽に弾けますね。

************************************
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★j-iさんのプロフィール(ご自身の書き込みです)

石を投げれば当るような通りすがりの宅録ギタリスト

Works

☆アマチュアです


j-iさんの楽器環境;

聞かないでください
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

ありがとうございました。皆様からギターにまつわるいろいろなお話をお聞かせ
願えると幸いです。
(2003.02.15)


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読者の声その1 星川薫さん


お読み頂き有り難うございます。
読者の方からいろいろなコメントをいただいております。
とても参考になると思うので紹介させていただきます。

最初はプロギタリストの星川さんです。

***********************************

ごぶさたしてます!星川です!
いろんなレポート、たいへん興味深く読ませてもらいました。
私のメインギターである、64ストラトには、おそらく普通のドータイトが塗って
あるのですが、うえから銀の導電塗料を塗ってもいいかんじになりそうですね。
ハンダについてもたいへん参考になりました。ピックについては、私はリード、
カッティング、アコギ等で使いわけをしてます。とくにカッティングのときは弦
からすっと離れてくれるピックがすきです。
結局は仁さんの言うとおり、トライアンドエラーのくり返しですね。自分の耳の
かんじもかわっていくし、たまにどつぼにはまったり。これからもギターを弾い
てくあいだはそうなんでしょうね。

仁さんと時間があえば、ぜひいろいろと実験をさせてもらえればなどと考えてます。
それとこのあいだのピックの話しですが、僕の場合、エレキの時はアーニーボー
ルのティアドロップのヘビーを使ってます。だいぶ前に音が好きで使っていた
ピックが、あるんですがほとんど手にはいらないので、手にはいりやすく好みに
ちかい物がアーニーボールだったわけです。で、アコギのザックリしたカッティ
ングの時はおにぎりを使ってます。ちなみにおにぎりではまだ気にいったものが
見つかってません。それと僕の場合、リードの時もアコギのアルペジオの時も小
指とかは、ボディにおいたりしてません。

それと持論なんですが、日本人は腕とか手の質量が、あっとう的に白人や黒人に
くらべて少ないと思うんです。質量があれば、とうぜん落ちるスピードは、早く
なると思うんです。で、僕はカッティング好きなので、それをおぎなうためにな
るたけ大きく腕と手首をふるようにしてます。なんか、日本人てクリックにはあ
わせられてもスピード感がないような気がしませんか?さきほど書いた小指とか
をボディにおかないのもそこからきていて、リードの時もアコギのアルペジオの
時もある程度大きく動かしたほうが、スピード感がでるような感じがします。
まぁ、早く弾きにくかったり、ミスタッチがちょっとあったりはしますが。
ではでは、しつれいします。

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★星川 薫さんのプロフィール

1959年3月14日生まれ
山形県山形市出身

高校時代よりギターを手にする。19才の時上京。アン・ミュージック・スクール
で井上氏に師事。同時にライブハウス等で活動を始める。最近では原田知世、守
屋里衣奈のレコーディングやライブを始め、鈴木慶一氏のCM、The Choiceでのラ
イブ活動と幅広く活躍中。加えて95年からDr.K Projectに参加。レコーディング
やライブを精力的に行っている。

Works
☆参加アルバム等
 石井竜也『エッチ』
 オリジナル・サウンド・トラック『ゴーストスープ』
 ムーンドッグス『ムーンドッグス』
 V.A『スナップ・アット・ア・チャンス』
 ヨウジヤマモト『HEM』
 森若香織『LOVE OR DIE』
 V.A『トッドは真実のスーパースター』
 徳武弘文、バカボン鈴木 他『スーパー・ギター・トリビュート#1.2』
 V.A『みどりのマキバオー まきばで歌合戦』
 宮村優子『不意打ち』
 V.A『リアルサウンド〜風のリグレット(セガサターン)』
 山木康世『道』
 あがた森魚『日本少年2000系#2』
 高田 渡『外国から来た日本語詩...。』
 Dr. K Project『エレキバンドが夢だった』他
 原田知世『a day off my life』
 原田知世『空と糸』
 松山千春『egoist』
 守屋里衣奈『弾丸と花』
 V.A『Queen's Fellows〜yuming 30th anniversary cover album』
☆教則ビデオ
 怒濤のブルースバッキング リットーミュージックより 
☆CM等
 東京テレメッセージ、トレン太君、アツギ、東武グループ、
 日産環境CM、勇者特急マイトガイン、住友生命、NTT DoCoMo etc
☆ツアー/サポート等
 ムーンドッグス
 岩井さゆり
 スーパー・ギター・トリビュート
 ザ・忘年会
 原田知世
 ヨウジヤマモト
 柴田恭平
 佐門慶一
 加山雄三
☆エンジニア
 Dr.K Project『エリア・コード615トリビュート・ライブ』

星川さんの楽器環境;

Fender Stratocaster64'
Fender Jazzmaster59'
Fender Japan Telecaster
Tokai Lespaul
Hofner フルアコ Unknown
Aria Ventures Model2002
Kel Kroydon Acoustic (Made By Gibson) 1931'~1933'
Aria AC80 エレガット

Fender Princeton Reverb 64'
Soundcity LB50 Plus

Ross Comp
Handmade Fuzz
Honda Sound Works Lenny
VOX WOW 70'etc
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

ありがとうございました。皆様からギターにまつわるいろいろなお話をお聞かせ
願えると幸いです。
(2003.02.15)


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ハンダのその後とヒューズ


以前に報告したハンダの音色の続編です。

一般的にこのような「そんなことあるはずないじゃないか」と言われるような事
柄について、発表するのには迷いがありました。とかく結論だけが独り歩きして
迷信やオカルトにつながりがちだからです。僕としては、ハンダに音色差がある
ということを知ってもらった上で、結論は皆さんに出していただきたい、と考え
ていたわけなんですが、「結果を聞きたい」という声があるようなので、敢えて
発表しようと思います。

しかし、調査と言えるほどのものではなく、プロアマ問わず、機会有る毎に試聴
してもらった感想・印象を僕なりに解釈・整理したものなので、数値的な裏づけ
は全くありません。あくまで僕がこうなんじゃないかと思っているということに
過ぎませんが、何らかの参考にしていただければ幸いです。

以前のリポートで取り上げている8種類しか試していませんので、ご注意くださ
い。最近人気のあるメーカーのものなどはテストに含まれていません。またいろ
いろ集めてやってみたいものです。

************************************
全般的な意味で評判が良かったのは
(1)ヒューマンギヤ・クラシック
(1’)ワンダーソルダー
(2)カルダス
です。

低域の充実度で並べると
(1)ヒューマンギヤ・クラシック
(2)ワンダーソルダー
(3)カルダス
の順です。
レゲエを得意とするミキサーのH氏はヒューマンギヤ・クラシックを激賞し、自
身が関係するスタジオの配線をやり直すといって、ヒューマンギヤ・クラシック
を買い込んだそうです。
注意すべき点はヒューマンギヤ・クラシックには2種類あるということです。以
前のアメリカ製と、最近流通しているドイツ製?のふたつです。僕達のテストに
使用したのは以前のアメリカ製のものです。(テスト時ドイツ製のものはまだ無
かったと思います)

高域に着目すると
(1)WBT
(2)カルダス
(3)ワンダーソルダー
となります。
分解能を考えるとWBTの独壇場かもしれません。オーディオファンの間で評判
が良いのはよくわかります。しかし、その分、音楽的な「謎」(というか雰囲気
というか)が減る感じがして、妙にクリアーな印象を持ってしまいます。一長一
短という感じです。このあたりは制作現場側とリスナー側では意見が違うのかも
しれません。
カルダスの高域は見事です。

存在感といいますか、音楽のリアリティーで考えると
(1)カルダス
(1’)ワンダーソルダー
が双璧だと思います。
カルダスとワンダーソルダーは基本となる合金に同じものを使用しているようで
す。
それぞれ製造方法やフラックスに工夫をしているとのことなので、それで違いが
でているのかもしれません。面白いものですね。
WBT、カルダス、ワンダーソルダー・・・銀含有です。他社にも銀含有はあり
ますが、何故かあまり評価が高くありませんでした。

 前述しましたように総合評価では、なかなか思うようにいかない低域をガチッ
と出してくれるヒューマンギヤ・クラシックが好評でした。高域のコントロール
はハンダ以外の要素で可能であるという判断も働いたようです。現場の声として
はヒューマンギヤ・クラシックと銀線の組み合わせがいけそうというものがいく
つかありました。
ワンダーソルダーは普通に評判が良いです。プロ・アマの双方から同じように支
持されてます。

僕はカルダスの肌触りがいちばん好きです。音が痩せずに重心がちょっと高めに
なる感じ・・好みなんです。 (カルダスファンです!)

僕の現状でいうとギターの配線にはカルダスかワンダーソルダーを使うことが多
くなりました。使い分けはそのギターでイメージする音によって・・・です。他
のハンダは、いろいろやってみてどうしても疑問があるというときに試してみて
います。


話し変わって、ヒューズです。
前回のハンダのレポートの時にお世話になった田中さんから「音の良いヒューズ
があるよ」といって渡されました。

本当かな?と思ってマーシャルで試してみました。良いんですよ、これが。
ドイツのウィックマンです。
ヒューズに関しても各社の製品を使って制作された試聴用テストCDがあります。
ヒューズ無しの音も含まれていて、それがいちばん良い感じではあるんですが、
現実的ではありません。ヒューズ有りのものの中ではウィックマンが一番でした。

ウィックマンはドイツ工場を閉鎖?して、中国工場にシフトしてきています。そ
れも試しましたが、ドイツ工場製の方が音が良いです。ドイツ工場のものは残念
ながら今は流通在庫だけになっていると思います。
プロ機のパーツはどうなっているか聞いてみましたら、「たしかスチューダーは
ヒューズホルダーがウィックマン製なのでヒューズも純正はウィックマンじゃな
いかな?」とのことです。未確認で申し訳ありませんが、流石に、やるとこはやっ
てるみたいです。田中さんいわく「ウィックマンのヒューズホルダーも音が良い
んだよ」・・・・脱帽です。

別項でリポートしている銀の導電塗料にしてもアレンビックは昔から使用してい
るようです。
なんのことはない、僕は30年近くたってから先人の後を追いかけているという
感じです。今まで着目してなくて、ないがしろにしてきただけなのかなとも思っ
て反省してます。もっとがんばらなくっちゃと思う今日このごろです。

ではでは また
(2003.02.09)


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銀の導電塗料 応用編 その1


銀の導電塗料の使いみちを考えてみました。(アチソンの銀の導電塗料は正式に
は「導電性塗料」なのかもしれませんが、その違いをよく把握してません)

ケーブルの音質を改善するアクセサリーとして、ケーブルに巻きつける導電性リ
ボンや、導電性の塗料?が売られています。なんでもケーブルの外皮上に発生す
る不要な帯電や迷走電流を除去して、音をよくすることが出来るそうです。
しかしそれらはとても高価で、塗料状のものは5ccで¥2000〜¥3000
くらいします。これは今回用意した銀の導電塗料よりはるかに高いです。

そこで、それらの解説をよく読みますと、要するにカーボンを含有した導電塗料
のようなのです。であるならば、銀の導電塗料で目的を達成できるのではないか・・
と考えたわけです。

どれぐらい影響があるものなのか試してみることにしました。
用意したのはジョージL’sの3mの赤ケーブル2本です。これは全く同時期に
長いものから切り出して作ったもので、プラグは専用のブラスのものがついてい
ます。音質テストでは当然ながら見分けがつかないものです。これのうちの1本
に銀を塗ってどう変わるのか比較テストしようと考えました。

銀を塗って1時間ぐらい経って使用に耐えるぐらいに乾いたので音を試してみま
した。
かなりボテボテの音で、アリャリャという感じです。外皮に何か塗ることは、汚
れた場合も含めて、かなり影響ありそうな気配です。テストにはストラトとマー
シャルのアンプを使用しました。

その後数時間おきに音色を試しました。乾くにつれて塗装皮膜の抵抗が下がって
いくようなので、完璧に乾かなければ所定の性能がでないのかもしれません。試
すたびに音色が変化しています。
3日ほど経ったところで音が安定してきました。シールドの場合でもこれぐらい
乾かさないと本来の性能が出ないのではと思いました。早く乾かしたいときはド
ライヤーの熱風を吹きつけるなどの工夫をしたほうが良いかもしれません。

銀を塗ったケーブルの音の印象は「優しい」という表現があたっているように思
います。キャンキャンしたところが落ち着いて音程感が増して聞こえます。これ
は特に第6弦を強めに弾いたときに感じます。周波数特性が変わったという印象
はそれほど持ちませんが、弦の音に付きまとっていた何かが変わったように思い
ます。別な言い方をすれば「おとなしく」なったともいえます。

この銀塗料は両端ともプラグのところでアースに落ちるように塗ってありました。
ということは信号電流もこの塗料を流れているわけで、本来の網シールドとの間
でループを形成していることにもなると考えて、片方のプラグ付近で塗料をはが
して、片側だけでアースに落ちているかたちに変更してみました。これで試して
みると、なんと音が変化していました。
中高域のキラキラした感じが音を派手な印象にします。音量感も両端アース時よ
りも上がった感じです。これは結構好きです。

つぎに両端ともアースから切り放して試してみることにしました。ケーブルの外
側に導電体が塗りつけられた状態で、それはアースには接続されていないという
ことになります。前述のオーディオアクセサリーの説明ではこの状態でも何らか
の効果がありそうです。音を試してみるととても「乾いた」感じです。ピッキン
グの音が「カラカラ」した感じに聞こえます。音程感はノーマルの赤ケーブルに
近いように思います。

どの状態が良いかということは一概にいえません。好きずきという範疇のものか
もしれません。しかしケーブルにこのような処置をすることで音色に変化を与え
ることが出来るのは知っておいて良いことだと思います。ケーブルの汚れもおそ
らく影響を与えるでしょう。要注意ですね。
銀塗料を塗ったものを長時間使用しようと思えば、剥がれを防ぐために何らかの
保護対策が必要だと思われます。今回はほんのちょっとした実験なので塗装面が
むき出しのままです。

念のためケーブルの静電容量を測ってみました。
銀を塗ったもの  78pF/m   (実測値から1mあたりを計算)
ノーマル赤    77pF/m   (実測値から1mあたりを計算)
です。

参考までにちょうど手元にあったケーブルの実測値を書いておきます。
いずれも実測値から1mあたりの静電容量を計算して4捨5入したものです。
測定誤差についてはご容赦ください。

ジョージL’s   太       73pF/m
ジョージL’s   細 黒     76pF/m
ジョージL’s ノーマル赤     77pF/m
ジョージL’s赤に 銀を塗ったもの 78pF/m
メーカー不明 試作品        88pF/m
オーディオテクニカPCOCC   119pF/m
フェンダー無印          119pF/m
SPECTRAFLEX      125pF/m
モンスターROCK        129pF/m
カナレGS6            150pF/m
フェンダー Whirlwind       171pF/m
国産某社             222pF/m

今後各種ケーブルで銀の導電塗料を試してみようと思ってます。
(2003.02.01)


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ゴア社の弦 その後


以前リポートしたゴア社のコーティング弦のその後です。
あまり音質が劣化しないためにほとんど弦のことを気にしていませんでした。
ページの読者の方との話の中でこの弦のことがでてきました。それでよ〜〜く考
えてみると、張ってからもうまる3年も経ってしまったんですね。びっくりしま
した。

試しているギターはフェンダーの「エスプリ」通称ロベンフォードモデルです。
最近出ているロベンフォードモデルの前身ともいえる楽器だと思います。

あらためて弦をチェックしますと、さすがにフレットがあたる部分に傷が目立っ
てます。しかし相変わらず音はなかなかの感じです。プレーン弦は何度か交換し
ているように思いますが、あまりよく憶えていません。
これぐらい劣化が少ないと「ちょっと弾きギター」には最適な感じがします。
最初はちょっと高めですが、長い目で見ればコストパフォーマンスは最高だと思
います。

最近べつのメーカーからもコーティング弦が発表されてますが、要チェックで
すね。

ゴア社の弦も進化しているようで、いつのまにかバリエーションが増えています。
僕が今テストしている弦を継承したものと、より薄いコーティングのものとが出て
いるようです。今度は薄いほうを試してみたいです。
(2003.02.01)


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銀の導電塗料


アクセスしていただいて有り難うございます。延べ5万人を越えまして嬉しく
思っております。

 最近、銀の不思議を強く感じております。銀ムク線、銀メッキ線、銀入りハン
ダ・・・そして銀の導電塗料なんです。

**************************************


 以前から僕はアチソン社のカーボン(グラファイト)の導電塗料E112を使っ
てきました。水性で扱いやすいのが良いし、カーボンでもシールドという目的は
十分にはたしていると思ったからです。実際、ノイズをかなり防ぐことが出来て、
満足していました。(E112には溶剤タイプもあります)

 ところがひょんなことから、より高性能な導電塗料はないものかと探してみる
気になりました。インターネットで探してみると各社からカーボンのものはもと
より、ニッケルのもの、銅のものなど各種でていることがわかりました。
 早速いくつかのメーカーに連絡をとってみますと、銅やニッケルはシールド特
性はすぐれているものの、ギターのキャビティーに使うには不適切ではないか、
という見解でした。異種金属と触れ合う可能性が有るところでの使用は、腐食等
の問題からあまりお勧めできないとのことでした。やはりカーボンのものがいち
ばん安定して使えるし、それなりの性能を得られるのではないか、というのが共
通した意見のようです。

 海外のメーカーでシールド材を明記してあるものを見てもカーボンが多いです
し、国内でも溶剤タイプも含めてカーボンが主流のようです。
 それでもより高性能な物は無いのかと相談したら、アチソン社から「銀はどう
でしょう。シールド特性は抜群に良いので楽器でも良い結果が得られるのではな
いでしょうか」というお勧めが有りました。安定性も高そうです。
 メーカー発表のスペックによると、カーボンと比較して抵抗が格段に少なく、
シールド特性も飛躍的に良いようです。

 というわけで銀の導電塗料をテストをしてみることになりました。
(アチソン社の高橋さんには大変お世話になりました。そのご厚意に感謝いたし
ます。)


**************************************
 以下に述べる事柄はなんらの客観的な尺度を持ち合わせていないことを、まず
最初にお断りしておきます。個人の環境ではテスト用の楽器を多数そろえること
が出来ず、また塗料というものの比較が、他のパーツの場合と違って後戻りしに
くいという事情も有ります。したがって、たんに僕の思い込みや願望である場合
もありうると思います。その点をお含みおきください。
**************************************


 手持ちのエレクトリックギター数本のコントロールキャビティーに塗ってみま
した。アチソン社SP800銀の導電塗料です。溶剤タイプ(*塗装を溶かす可
能性があるのではみ出さないよう要注意
です)で、乾燥は速く短時間(約5分)
で手につかなくなり、比較的軽い作業は続けて行えます。完全に乾くにはもっと
時間が必要ですが、メーカー資料によりますと24時間となっています。所定の
性能を得るためには、完全乾燥が必要なようです。各種テストは塗ってから24
時間以上たってから行なうのが賢明です。

 外来ノイズはかなり押さえられるようです。カーボンと比較して、より効果的
な気がします。ディストーションをつないで試してみても全体的な印象として
「静か」です。キャビティーのシールドとしては大変良いと思いました。

 音はどうでしょうか。カーボンによるシールドの場合、人によってはきらびや
かさが損なわれるという感想が語られることが有ります。試してみると今回の銀
の導電塗料でも音色の変化が有るようです。しかし、これが不思議なんですが、
ぼくには良い方向に変わって聞こえるのです。

 まず、カーボンを既に塗ってあったテレキャスターの場合、カーボンの時は
ちょっと物足りない印象が有りました。こじんまりまとまっているとでもいいま
しょうか・・・。そのカーボンの上から銀をぺたぺた塗ってみたわけです。乾い
てから弾いてみると、なんといいますか・・しなやかに強い感じの音に変わった
のです・・・表現できませんが・・・物足りなさは解消の方向です。

 次にシールド処理を全くしていなかったクレイマーのアルミネック(シングル
コイル)の場合。元々独特の暴れた感じがあって使うシーンが限定されそうな音
だったんですが、銀を塗ってみるとやはり芯が出て艶っぽくなって、気持ちの良
いまとまりが有って・・・・

 カーボンを既に塗ってあったストラトの場合。面白さに欠けるというか、まと
まりすぎている印象が有りました。ピックアップをのせ換えているのでそれのせ
いかなと思っていました。で、銀を塗ってみると・・なにか伸びやかな強さが有っ
て好きな感じになっているのです。

 国産某メーカーのエレクトリック12弦の場合。シールドはしていなくて、
ちょっと濁った感じの音。分離はさほど良くなく、量感のなさはボディのせいか
と思ってました。
 銀の塗料を塗ってみると、問題点がかなり解消されたように聞こえるのです。
ローはガッチリとし、高域の倍音も綺麗に伸びてすっきりと華やかな感じになり
ました。濁りが取れて分離が良くなったようにも聞こえます。

 以上は本当にたんに印象に過ぎませんし思い込みで間違っているのかもしれま
せん。気のせいかもしれません。大いに不安です。
 そこで、普段から頼りにしている友人に塗料を送って試してもらうことにしま
した。その結果は?
届いたメールからの引用です。

 「僕のXXXXは導電塗料済みでオーバーラッカーしてありまして
  はく離しないようになっております。ですから、その上にいただいた物
  を塗ってみました。
  結果として音質が良くなりました。僕の感じとしましては
  元気で力強くなった気がします。
  なんでハッキリとしたように聞こえるのか不思議な感じです。」

 僕と同じような印象なのです。全く驚きました。

 なぜなんでしょう。僕としては皆さんに是非とも追試をしていただきたいので
す。 シールド材としてのノイズ除去は万全です。カーボン以上だと思われます。
 問題は銀の導電塗料を塗ったとき、音色の印象はどう変わるのか、或いは変わ
らないのか、ということです。
 今のところ銀の導電塗料は少量では一般的に入手が難しいかもしれません。
キャビティーに塗る量を考えるとギター一本あたりの銀の塗料代はそれほどの金
額ではありませんが、価格そのものはカーボンよりもかなり高いです。(注1

 皆さんのテスト結果をお待ちしています。宜しくお願いいたします。
 もし音色に変化がなかったとしても、シールドの当初の目的であるノイズ防止
は達成されると思いますので、試してみて決して「損」はしないと思ってます。
 僕も続けてテストしていこうと思ってます。またご報告できると思います。(注2


(注1)なんとか簡単に手に入れられるようにと考えて各方面にお願いしました。
その結果、ヒューマン・ギヤで試験的に扱ってもらえることになりました。
価格は原価ではカーボンの約20倍の値段なんですが、特別なケースとして、
比較的安価で入手可能になるように取り計らってもらえました。
ほぼ実費(原価+諸経費)です。銀塗料25gとその溶剤がセットで数千円程度
になると思います。銀塗料25gは、キャビティーの大きさにもよりますが、数
本のギターに塗れる量です。価格はその時の銀の相場で変動します。(銀ってそ
ういうものだったんですね)

 とりあえず数量限定ですが、需要に応じて今後を考えたいと思ってます。
 詳しくはヒューマン・ギヤにお問い合わせください。

  ヒューマン・ギヤ http://www2.gol.com/users/yagi/
  メールアドレス  yagi@gol.com
  TEL      03ー5450ー6178
  FAX      03ー5450ー8939

(注2)おまけのお話です。銀の導電塗料は抵抗が低くとても安定しているため、
プリント基板の修正に使えるそうです。切れてしまったパターンをつないだり、
一部パターンを変更したいときなど、細い筆で希望のパターンを書くだけでよい
とか。実際、某メーカーが何か不具合があったパターンの修正用に大量に買い付
けたこともあったそうです。
 そのほかにも、考えればいろいろ利用する道がありそうです。2〜3のアイ
ディアがあるので試してみるつもりです。
(2003.01.25)


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フィンガーピック


 素晴らしいフィンガーピックを見つけたのでお知らせいたします。
Guptill MusicのProPikがそれです。
指に巻きつく部分が、従来からあるシングルのものと、ふたつに分かれた
スプリットタイプがあります。今回試したのはスプリットタイプのものです。
無理に締めつけなくてもフィット感が非常によく、ぐらつきが少ないです。
サムピックも大変よいです。

素材はブラスとニッケルシルバーの物とがあります。双方とも仕上げが非常に
よく、完璧です。音はブラスのほうが若干柔らかめです。

 サイズや形状に各種あり、全部で50種類ぐらいあるようです。
ユニークなのは最近発表されたモデルで、Finger Toneというものです。
指の腹がでるような構造になっていて、慣れれば指でミュートすることも
できるようです。

 価格は$2.50のものがおおく、ものによって$3.50のものもあります。
FAXでオーダーをだして、1週間以内で品物が届きました。
決済はVISAカードでおこないました。製品代の他にシッピングと
ハンドリング費$8.00が加算されます。

詳しくは
http://www.guptillmusic.com/
を訪問してください。

なお、とてもよく似た名前でPropickというところもあります。ここもメタルの
ピックを作っていますが別物です。変わったフラットピックを作っていますが、
フィンガーピックはありません。間違わないように。
(2002.03.09)


プロピック


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実戦的ブリッジ調整についての考察


「実践的ブリッジ調整(改訂版)」を掲載しましたので、そちらをご覧ください。
実践的ブリッジ調整(改訂版)(2004.05.16)


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寺田仁のPOD2データ 一部公開


 いろいろな方から「寺田仁のPOD2」のデータを公開して欲しいと要請され
ています。僕としてもエディットの参考として公開したいと考えていました。
しかし、それ目当てに製品を購入された方がいらっしゃるわけですし、すべてを
公開するというわけには参りません。そこで、サウンド&レコーディング誌と相
談した結果、僕のエディット方法の基本となりそうなもの4プログラムだけを公
開して、参考にしていただこうということになりました。

 今回公開するのは次の4プログラムです。
 いずれも完成品の音を目指すというよりもエディットのアイディアをわかりや
すく示すという観点から作ったものです。実際の使用ではプリセットの音そのま
まということは少なく、何らかのエディットを施すと思われますが、その時に参
考になればという気持ちです。どのパラメーターがどういう変化を及ぼすかを感
じていただければ成功といえるでしょう。

 AC30TB 112    中高域にちょっと特徴があるクリーンクランチ
 MATCHLESS 112 前者よりディストーションに近い歪み
 BASSMAN 112   低音弦の歪み方が特徴的
 JTM45 112     低音弦の荒れた歪み方を狙ってみました


使用スピーカー Vox Blue 112
  Air  Drive Bass Mid  Tre  Pre  Vol  Boost Bright Dist Prese Comp
AC30TB  26 29 50 57 40 - 63 - - - on 2
Matchless 11 27 46 45 58 42 41 on - - on 2
Bassman 35 38 39 38 47 8 43 on - - on 3
JTM45 15 59 35 49 36 32 30 on on - on 2


**********************
 設定手順  --- SoundDiverが必要です。---

*まずアンプタイプを選択します。

*つぎにスピーカーを選びます。

*AIR値を調整します。一応僕のは目安程度と理解してください。使用環境に
応じて調整してください。

*EQやDRIVEやVOLは使用ギターにあわせてお好みで調整してください。

*PRESENCEのスイッチはそれのパラメータがなくてもONにしています。
これで音色が変わるように感じています。

*コンプも僕の中では必須項目です。他のパラメーターとの関係を感じとって頂け
れば嬉しいです。

*製品ではこの表以外のパラメータも設定していますが、環境にあわせて設定して
ください。
 
 POD2で作りましたのでPOD1で同じになるかどうか不明です。
 以前に書きましたリポートも参照していただけると幸いです。

 ご意見ご感想 お待ちしています。
(2002.01.22)

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War Resisters Leagueの声明と音楽ジャーナリストからのリポート


今回のテロに関して、巻上公一氏がアサヒの英字新聞の方から送られたニュースと、
ある音楽ジャーナリストからのリポートを、転送してくれました。いずれも共感する
ところが多い内容です。
皆さんに御読みいただければ幸いです。
(転載許可を受けております)
(2001.09.18)


***********************************
 米国への「テロリズム」について、米国の非暴力平和主義のNGO、戦争抵抗者連盟
(War Resisters League)が声明を出しました。以下がその拙訳です。

君島東彦


戦争抵抗者連盟(War Resisters League)の声明
2001年9月11日
ニューヨーク

 わたしたちがこれを書いているいま、マンハッタンは包囲攻撃を受けているように
感じられる。すべての橋、トンネル、地下鉄が閉ざされ、何千人、何万人もの人々が
マンハッタン南部から北へゆっくり歩いている。ここ戦争抵抗者連盟の事務所にすわっ
ていて、わたしたちがまず想うことは、世界貿易センターの崩壊で命を落とした何千
人ものニューヨーカーのことである。天気は快晴で、空は青い。しかし、煙りの下の
瓦礫の山の中でおびただしい数の人々が死んだ。その中には、ビルの崩壊のときその
場にいた数多くの救急隊員も含まれている。

 もちろんわたしたちは、ワシントンの友人・同僚たちが、ペンタゴンにジェット機
が突入したときに巻き添えになった一般市民について想っていることを知っている。
そしてわたしたちは、この日ハイジャックされた飛行機に乗っていた何の罪もない乗
客たちのことを想っている。現時点で、わたしたちはどこから攻撃が来たのかわから
ない。

 わたしたちは、ヤサー・アラファトが攻撃を非難したことは知っている。もっと情
報が入るまで、詳しい分析は差し控えるが、しかし幾つかのことは明らかである。ブッ
シュ政権はスター・ウォーズ計画に膨大な支出をすることを議論しているが、それが
最初からでたらめであることははっきりしている。テロリズムはもっとありふれた手
段でこんなにたやすく攻撃することができるのである。

 わたしたちは、合衆国議会とブッシュ大統領に対して、次のことを求める。これか
ら米国がどのような対応をするにしても、米国は一般市民をターゲットにすることは
しないこと。一般市民をターゲットにする政策をいかなる国のものであれ認めないこ
と。これらのことをはっきり認めてほしい。このことは、イラクに対する制裁──何
万人もの一般市民の死をもたらしている──をやめることを意味するであろう。この
ことはまた、パレスチナ人によるテロリズムのみならず、イスラエルによるパレスチ
ナ人指導者の暗殺や、イスラエルによるパレスチナ住民に対する抑圧、西岸およびガ
ザ地域の占領も非難することを意味するであろう。

 米国が追求してきた軍国主義の政策は、何百万もの死をもたらした。それは、イン
ドシナ戦争の悲劇から、中米およびコロンビアの暗殺部隊への財政援助、そしてイラ
クに対する制裁や空爆などに至る。米国は世界最大の「通常兵器」供給国である。米
国が供給する兵器は、インドネシアからアフリカまで、最も激しいテロリズムを助長
している。アフガニスタンにおける武力抵抗を支援した米国の政策が、結局、タリバ
ンの勝利とオサマ・ビン・ラディンをつくりだしたのである。

 他の諸国も同じような政策をとってきた。わたしたちは、これまで、チェチェンに
おけるロシア政府の行動や、中東およびバルカンにおける紛争当事者の双方の暴力な
どを非難してきた。しかし、米国は自己の行動に責任をとるべきである。たったいま
まで、わたしたちは国境内で安全だと思ってきた。快晴の日、朝起きてみて、米国の
最大の都市が包囲攻撃されているのを知って、わたしたちは、暴力的な世界において
は誰ひとり安全ではない、ということを思い起こした。何十年もの間、米国をとらえ
てきた軍国主義を、いまこそ終わらせるべきである。

 わたしたちは、軍拡と報復によってではなく、軍縮、国際協力、社会正義によって
安全が保障されるような世界をめざすべきである。わたしたちは、きょう起きたよう
な、何千人もの一般市民をターゲットにする攻撃をいかなる留保もなしに非難する。
しかしながら、このような悲劇は、米国の政策が他国の一般市民に対して与えている
インパクトを想起させるものである。わたしたちはまた、米国に住むアラブ系の人々
へ敵意を向けることを非難し、あらゆる形態の偏見に反対してきた米国人のよき伝統
を思い起こすよう求める。

 わたしたちはひとつの世界である。わたしたちは、不安と恐怖におびえて暮らすの
か、それとも暴力に代わる平和的なオルタナティヴと世界の資源のより公正な分配を
めざすのか。わたしたちは失われた多くの人々を悼む。が、わたしたちの心が求めて
いるのは、復讐ではなく和解である。

───────
 これは戦争抵抗者連盟の公式の声明ではないが、悲劇が起きた直後に書かれた。戦
争抵抗者連盟の全国事務局のスタッフと執行委員会のメンバーが署名して、公表され
る。
2001年9月11日

asif ullah
Carmen Trotta
Chris Ney
David McReynolds
Joanne Sheehan
Judith Mahoney Pasternak
Melissa Jameson

(君島東彦訳)

***********************************

***********************************
知人・友人の皆さま、音楽関係者の皆さま


先週ニューヨークで起きた事件をきっかけに、今、NYCの地元のアーチスト達は戦争
の勃発をとても心配しています。現地の人々にとってはテロに対する怒りよりも、ア
メリカがこれをきっかけに戦争に向かうことを強く恐れています。彼らは今、「どう
か戦争だけは起こさないでください」と、ホワイトハウスの人々や議員の人々に、メー
ルで嘆願しています。日本の皆さまも、どうか、下記のアドレスに、「Please don't
go to war!」の一言だけでもかまいません。戦争を回避する嘆願のメッセージを送っ
ていただけたら幸いです。

president@whitehouse.gov
vice.president@whitehouse.gov
senator@schumer.senate.gov
senator@clinton.senate.gov
senate@mailbot.com
house@mailbot.com
first.lady@whitehouse.gov


被災者であるマンハッタンの人々は、テロへの報復が悲しみの解決だとは思っていま
せん。Bushがアラブ諸国に謝罪してでもいいから、過去のアメリカの非を認めてでも、
戦争を回避してほしいと願っています。どうか、次の悲劇が起こる前に、日本からも
できるだけ多くの方々からのメッセージを送っていただけたらと願います。

この事件のために、今後、ニューヨーク(特にジャズクラブが集中するダウンダウン
地域)の音楽シーンが低迷してしまうことを、とても心配しています。すでに、航空
機の問題でツアーの中止やコンサート・フェスティバルの中止、外国へのCD輸出貨
物の制限など、ミュージシャンの生活にも影響が出ています。何よりも、彼らが長い
間愛してきたWTCをあのような形で破壊され、失ったことに、深い悲しみを覚えて
います。

今後はさらに、観光客の減少により、マンハッタンのジャズクラブの低迷なども予想
されます。
今後2,3年は苦しくなるであろうニューヨークのミュージシャン達の活動を少しで
も支援できるような「アーチスト基金」のような募金活動も、目下企画しています。
その際には、日本のジャズ雑誌各誌、およびラジオなどメディアの方々にも、ぜひ、
読者やリスナーの方々に呼びかけていただけたらと思います。

NYCのミュージシャン達から毎日、悲しみのメールが届き、心を痛めています。どう
か、彼らの心に再び平和が戻る日が早く訪れるよう、皆さまからも祈っていただけた
らと思います。


音楽ジャーナリスト
座間裕子

************************************


巻上公一さんのサイト『音楽なら極楽』はこちら→http://www.makigami.com/

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ハンダ 侮るなかれ


以前予告しましたハンダテストの中間報告です。
ハンダによる音色の差をテストするといってもなかなか一筋縄ではいきません。
どこかのハンダを交換しても、音色の差は記憶だけに頼ることになりがちです。
また良いハンダを使ったんだという思い込みが判断を誤らせることもあるかも
しれません。何か形に残せればよいのですが・・・

というわけで、僕がもっとも信頼するマスタリングエンジニア、
ソニー・ミュージック・エンタテインメントの田中さんに協力をお願いしました。
田中さんにはいつもいろいろ教えていただいていて、僕の師匠のような存在です。
勿論マスタリングで日本の第一人者です。

今回僕が用意したのは4種類です。それとソニー・ミュージック・エンタテイン
メントで所有していた4種類、あわせて8種類のハンダのテストになりました。

テストに使用したハンダ
  アルミット1
  アルミット2
  アルミット3(番号は僕が勝手につけたものです。組成比率が異なってます)
  カルダス
  センジュメタル
  ヒューマンギヤ
  ワンダーソルダー
  WBT

テスト方法は田中さんのマスタリング用機材を結んでいるケーブルのうちの
1箇所をいろいろなハンダで試すというものです。
マスターレコーダーから各種機材を経てUマチックのレコーダーに入るわけですが、
そのうちの1箇所だけでテストしてみようというわけです。
まず、ある1種類のハンダでハンダ付けして、レコーダーを動かし、時間が来た
ら止めて、ハンダを吸い取って別のハンダでつけ直して、またレコーダーを動か
して・・・という繰り返しで8種類が記録されました。同じ曲が8回録音されて
いることになります。
テスト制作はすべて田中さん一人で行われました。めんどくさいテストを引き受
けていただいて感謝感激です。

その後Uマチックを再生してハンダによる音の差をチェックです。形として残っ
ているので何度でも聞きなおせるし、変な先入観も払拭できて、テストとしては
なかなか良いものだと思っています。
いま僕のところにそれから作ったCDがあります。結果は・・驚きました。

この違いはなんと表現して良いのでしょう。フレーズの説得力や肌触りといった
ようなものが違って聞こえるのです。試しに普通の人からプロまで、何人かの人
に聞いてもらいました。皆それぞれの言葉で違いを説明してくれます。
「キラキラしている」「どっしりしている」「楽器のバランスがそれぞれで異
なって聞こえる」「ローの伸びがいいねえ」「かすかすでつまらない音」「クリ
ヤーで透明感がある」「ちょっとほそいなあ」「音が太くて押しがある」「さっ
きと同じレベル?音が小さく感じるなあ」などなど・・・

どれがどうということはここでは書きたくありません。まだ未整理の状態だから
です。各ハンダの音色にたいする意見に一定の傾向があることは明白なんですが、
もうちょっと時間をください。まだまとめきれていません。

しかし、僕と田中さんとの間では「望ましい音のハンダ」の目星がついた気がし
てます。田中さんには特に好みにあったハンダがあるようで、新作のテストCD
ではケーブル5本分10箇所のハンダをそれにしてマスタリングしたものが収
録されています。すごく良いです。

「ハンダ 侮るなかれ」です。ハンダによる音の差 じつは相当ありそうな雰囲
気です。

音を聞いていただけないのが本当に残念です。銘柄名も・・・
またリポートしたいと思ってます。銘柄名をあげて報告できるようにがんばります。
(テスト続行中、請うご期待)
(2001.08.26)

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切れたPUを修理する


ときどき切れたPUについて質問をうけます。
ストラトタイプを例にとって、実戦的な修理方法を述べてみます。
以下の方法がベストであるかどうかは、わかりません。が、いくつかの切れた
PUを修理して、いまだに問題がないところを見ると、結構いけてるのかなと
思ってます。

断線を修理すると言ってもコイルの中で切れているものはプロに修復を任せま
しょう。古くからの知人である某PUメーカーの研究所でも、まき直しを受け付
付けています。一般的にはリペアショップに依頼して、そこからしかるべきとこ
ろに送られてまき直されるということになると思います。

PU断線に遭遇していちばん大切なことは、けして慌てないことです。慌てると
傷口が広がるばかりです。

僕の経験では、断線はたいていハンダ付けをするハトメの周辺で起こっています。
コイルの中の断線に遭遇するのはまれです。完全に音がでないときはハトメ周辺
を疑ってください。コイルなかでの断線は、浮遊容量を介して、ローのないカリ
カリな音が出ることが多いです。
リード線を別のものに取り替えようとしてハンダ付けすると、ハトメの周辺で切
れる場合があります。どうやら、熱でいったん膨張した線が、冷えるにしたがって
収縮するときに切れるようです。この場合ハンダ付け直後のチェックでは問題ない
のに、しばらくして完全に冷えきると断線しているという、厄介者です。

**切断箇所を確認する**

断線ピックアップは、まずどの辺が切れているか確認します。
2個のハトメの周辺をよく見ると細い線がコイルの方からきているのが見えると
思います。そのどちらか一方を便宜的に選んで、カッターの刃先でそっと線の上
に掛かっているワックスを取り除きます。線の一部が露出したら、さらにカッター
の刃先でエナメルやその他の被覆をはぎ取ります。これは線のごく一部が導通の
ある状態になればよいので、少しでも銅の地肌が見えればそれでOKです。その
部分に2本のテスター棒を当てて導通を見て被覆がはがれていることを確認します。

つぎにその部分とハトメの間の導通を見ます。導通があればこちら側の線はOK
です。もし導通がなかったら、ここが断線しているわけですね。
さらにこのはがした部分と反対側のハトメの間の導通をチェックします。所定の
コイルの抵抗値を示せば、断線はこちら側の一箇所だけということになります。
こちらも導通がなければ、念のためもう一度導通テストを最初からやり直します。
カッターではがした部分へのテスター棒の当て方が良くないのかもしれないから
です。あるいはハトメにワックスが厚くついているのかもしれません。そのあた
りを注意しつつもう一度テストしてください。

やはり両方とも導通がない場合、もう片方のコイルからきている線も、先ほどと
同じようにカッターの刃先で処理します。
導通テストも先ほどと同じ手順です。はがした部分どうしでの導通テストで、
所定の抵抗値を示すことを確認してください。だいたい5Kオームから7.5Kオーム
の間でしょう。(年代やPU位置によっていろいろあります)

はがした部分とハトメでは導通があって、はがした部分どうしで導通がないとき、
これは、ちょと難しい部分(コイルの中とか)で切れている恐れがあります。
どうしてもそれを使いたいときはもよりのリペアショップに相談してみてください。

**修理する**

切断が確認された側のハトメから配線とハンダを取り除きます。ハンダ吸い取り器
やソルダーウィックなどをうまく使ってください。ハトメの穴が貫通すればよい
のでハンダが少々残っていても問題ないです。
次にハトメの穴を通して細い銅線を巻きつけます。
これは縒り線の中身の細い線なんかが利用できます。数回巻きつけたら余った
部分は切らないでおいて、ハトメにハンダ付けをします。

この余った部分を先ほど被覆をはがした部分にそっとのせて、位置関係を確認
します。その部分にあらかじめハンダメッキをします。
被覆をはがした部分にもハンダメッキをします。またたぶんワックスの中に埋没
してしまうと思いますので、冷えてから、最初にやったようにカッターの刃先で
ワックスを取り除いてハンダメッキ部を露出させておきます。

**ハンダ付け**

ハンダメッキしたところどうしを重ねて長さを確認したら余分な線は切って作業
をやりやすくします。これは後で切っても勿論OKです。要するにやりやすいよ
うにやってください。
ハンダメッキしたところを重ねておいてハンダごてを当てます。
十分冷えてからテスターで導通を確認しましょう。
OKだったら配線をハトメにハンダ付けします。
この後にも、今度は配線の先端で導通テストして、所定の抵抗値を確認してください。

**最終確認**

配線を元に戻してギターに組み込み、音を確認しましょう。
もとどうりになっていたら、めでたし・めでたし
(2001.06.03)


コイル
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ギター内部の配線2


 USAに発注していた銀ムク線とコンデンサー、ハンダが届きました。

 銀ムク線はCARDAS社製で20gaです。これにテフロンの絶縁
チューブをかぶせて使います。早速ギターの最終アウトの配線でテストしてみ
ました。
 結果はとてもよいです。以前結果が良かった銀メッキ線との比較では、ハイ
エンド、ローエンドは似ていますが、中音域の充実感が違います。今回のCA
RDASの方が芯が太く感じます。複数のギターで試しましたが、この傾向は
変わらないようです。

 単体で使用する場合の傾向はわかりましたので、次にパラレルを試してみま
した。これは一筋縄では行かないようです。テレキャスターで銀メッキ線とパ
ラにしてみました。太くはなるのですが、音が素直でなくなった気がしてまた
銀ムク線だけにしました。ギブソン・ブルースホークでは銀メッキ線とのパラ
レルが良い感じです。
 個々のギターによって組み合わせを考える必要が有りそうです。組み合わせ
の数は膨大になりますので、ある程度傾向を絞り込まなければ収拾がつかない
かもしれません。

 ギターに銀ムク線を使用した状態で、コンデンサーのテストをしてみました。
今回購入したコンデンサーは、高級オーディオパーツ屋さんにあるブランド品?
5種類です。容量はいずれも0.02付近の物です。

RELIABLE TFT   Exotica Teflon & Tin Foil
RELIABLE RTX   MultiCap Film & Foil Polystyrene
RELIABLE RT   Polystyrene & Tin Foil
WONDERCAP    Polystyrene Film & Foil
HOVLAND MUSICAP Film &Alminum Foil Polypropylene
です。

 面白いことに、銀ムク線を使用しているとそれで音が決まってしまう割合
が多いようで、コンデンサーによる音の変化の割合が少なくなった印象があ
ります。銅線のときのような、コンデンサーを換えるとガラッと印象が変わ
るということがあまりありません。それでも多少の差はありますので面白い
です。
 ですが、このクラスになるとそれぞれ優劣つけがたく、たんに好みの問題
なのかなという感じです。
 このなかではRTXがいちばん好みでした。価格的にも納得できるものだ
と思います。(RTXは$5〜6ぐらいです)

 他にもハンダを3種類購入しましたが、これのテストはかなり難しいです。
かなり時間をかけてやらなければならないのですぐには結論を出せません。
CARDAS Solder
Wonder Solder
WBT  Solder
が、今回用意したものです。

 銀ムク線とコンデンサーのテストではWBT社製を使用しています。他
のものも引き続きテストして、また報告するつもりです。

 総合的に今回の内部配線で非常に満足できる物になってます。
またさらに別ののギターでも試してみるつもりです。

購入したところ:Michael Percy Audio
        http://www.percyaudio.com/
(2001.04.14)

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サウンドアンドレコーディング
寺田仁のPOD2に関する
若干のコメント


今回作ったのは
VOXスピーカー版8種 マーシャルスピーカー版8種 計16です。

***自分の音を作る***

 世の中に銘機と呼ばれるアンプはたくさんあります。そして、有名プレイヤーがそ
れら銘機を使って彼らのサウンドを作っていきました。しかし、彼らのアンプが時と
してストック状態ではなく、カスタムであったことはあまり知られていません。
 例えば69年ごろのジミヘンがマーシャルを使用したのは良く知られていて、それ
はスーパーリード100とベース用のキャビであったと言われています。ではそれら
はメーカーが製作したストック状態のものであったかというと、そうではありません。
あくまでジミヘンの希望する音がでるように改造されたものなのです。
 出力管はEL34から、一部アメリカ仕様で使われていた、6550に交換されま
した。ジミヘンはこのチューブがとても好きだったらしく、デュアルショーマンもこ
れに替えていたそうです。サウンドはよりハードでクリーンなものになったそうです。
 ボトムに関してはベース用のキャビであったかどうか定かではありません。箱が
マーシャルだったことだけは確かで、スピーカーユニットはVOXのスーパービート
ルに使われていたセレッションにわざわざ付け替えていたそうです。こちらのほうが
より好みにあっていたのでしょう。
 また、ほかの例では、エリッククラプトンがブルースブレイカーズ時代に、45
ワットのマーシャル1962(2X12)ビルトインアンプを使用していたのは有名
です。しかし、これもカスタム仕様なのです。パワー管をKT66に替えて、より洗
練されたミッドレンジとクリヤーなトップエンドを得ていたと言われています。

 このように自分の音楽にあわせてアンプをチューニングして自分自身の音を作ると
いうのは、いってみれば当然のことかも知れません。ですが、実際のアンプをいじる
となるとさまざまな困難が付きまといます。このLINE6POD2では実際のアン
プ並みとはいきませんが、ある程度のカスタマイズが可能です。しかもヴァーチャル
なのでちょっと危ないセッティングでも安心して実行することが出来ます。

***VOX 1X12を鳴らす***

 今回のひとつめのプログラムグループは耐入力の小さいスピーカーをほかのヘッド
でがんがん鳴らそうというものです。注目したのは本来VOXのAC15と組み合わ
されているセレッションのG12です。60年代と書かれていますので、おそらくブ
ルーの15ワット入力タイプだと思われます。
 AC15は最初グッドマンのスピーカーが使われていたのですが、途中からセレッ
ションが搭載されるようになり、60年代はVOX用にチューンされたこの通称「ブ
ルー」が使われていたと思います。このスピーカーは無理な高耐入力の手法をとられ
ていないため能率が良く、音も素晴らしいものだと思っています。ただし耐入力が先
ほど言いましたように15ワットと低めなのです。
 僕が試した範囲では、後のパワー競争時代になってからのスピーカーはとかく
「音」よりも「とばないこと」が最優先にされたような気がして、どうも好きになれ
ません。アンプの出力を音響出力にするよりもただ熱に変えて捨てているのではない
か、と、思ってしまうのです。セレッションではせいぜい30ワット入力(一本につ
]き)ぐらいまでのがいい感じだと思うんですけど・・・
 15ワット入力のG12一発をいろんなアンプで鳴らしてみよう、きっと良い音が
するに違いないと考えるわけなんですが、実際のアンプではいつとぶかびくびくしな
がら鳴らさなければなりません。その点今回は全く安心です。スピーカーが「とぶ」
心配は皆無なんですから。

***マーシャル 4X12を鳴らす***

 セパレートタイプのヘッドでマーシャルのボトムを鳴らすのは、よく行われている
手法です。今回作ったふたつめのプログラムグループは、コンボタイプのヘッドでそ
れをやってみようというものです。スタジオでの録音ではそれほど珍しいことではな
いのですが、POD上でどうなるのかやってみました。
 僕の好みでコンボタイプではないものも含まれてますが大目に見てください。ボト
ムのセレッションヴィンテージ30は最近の楽器用スピーカーの中ではとてもよく出
来ていると定評があります。オールドのG12をとてもよく意識していて、ヴィン
テージの名に恥じないものだと思います。

***クランチからディストーションまで***

 音はちょっとクランチぐらいからディストーションまでです。全くのクリーンは使
用楽器とのマッチングを重要に思いますので、今回はあまり作っておりません。プロ
グラムの上での要点はAIRの量をメーカープリセットより減らしているということ
です。
 メーカーとしてはAIRの効果を認識してほしいと思っているのかも知れません。
僕は全体に多めに感じてしまいます。楽曲やアレンジ次第というところもあるのです
が、AIRで作られる「立派な」低音が邪魔になってしまうことがあるからです。ギ
ターだけで弾いていると伸びやかで豊かで気持ちがいいのですが、ほかの楽器との混
ざり方で濁りすぎることもあります。それと、僕の好みではもう少し近くで鳴ってく
れたほうが嬉しいのです。最終的なバランスの中で距離感を付け足していくのは楽で
すが、より近く鳴らそうとすると比較的めんどくさい作業になってしまうということ
もあります。
 (ちょっと思ったんですけどPOD2ではAIRの音質が変更されているかも知れ
ません。今回エディットしてみて以前のPODほど濁らなくなったような感じがしま
す。全体の音作りが少しハイ側へシフトされているのが印象を変えているのかも知れ
ません。)
 AIRをうまくセットするとEQやほかのエフェクトとの兼ね合い次第で「箱な
り」の感じを出せるみたいです。でもちょっと難しい。
 エフェクトは全てコンプ/ディレイのみにしてます。ほかのエフェクトと共存できる
とより良いのですが。この辺は改良の余地があるのかも知れません。ディレイは共存
できるのでこのモードにしてみました。
 初期状態ではディレイレベルを0にしてあります。TAPを押しながらMIDを回
すとレベルの調整が出来ます。同様にTAP+BASSでフィードバック量の調整、
TAPを二度押すことでディレイタイムの調整です。又はTAPを押しながら
TWEAKを回すとディレイタイムを設定できます。コンプの深さはTAPを押さず
にTWEAKを回すと変えられます。全体にゲートを入れてあります。スレッショー
ルドの設定は音によって変えてあります。使用環境によって再設定の必要があるかも
知れません。

**************************************

6A BUDDA 112     ストレートなクリーンクランチ
6B AC30TB 112    中高域にちょっと特徴があるクリーンクランチ
6C MATCHLESS 112 前者よりディストーションに近い歪み
6D BASSMAN 112   低音弦の歪み方が特徴的
7A DELUXE 112    中域の歪み方に特徴を持たせました
7B JTM45 112     低音弦の荒れた歪み方を狙ってみました
7C JCM800 112    定番中の定番アンプ、高域のひりひりするかんじ
                 が出てれば成功かな
7D SLO 112       歪みまくっても崩れない輪郭と倍音の多さ、
                 結構気に入ってます
8A BOOGIE 412
8B AC15  412
8C AC30TB 412    比較的クリーンな音を作ってみました。
                 出力の小さなギターでは歪まないかも・・
8D MATCHLESS 412 素直に伸びるオーバードライブ
9A DELUXE TONE 412 上品なオーバードライブ
9B DELUXE 412    強引なディストーション
9C DUMBLE 412    ヒステリックな歪み方
9D RECTIFIER 412 倍音がぶつかりあうディストーション
                 ちょっと奥まった感じの空気は独特です

**************************************
(2001.03.11)

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ベルリンMIX行


先日1週間ばかりベルリンに行ってきました。
辻仁成君がベルリン映画祭に新作を出品したので、そのついでにベルリンで
何かをやろうということになったのです。ちょうど辻君が立ちあげた新バン
ドのレコーディングが最終段階に入っていたので、MIXを2曲ばかりやる
ことになりました。
スタジオはディペッシュモードやヒカシューやデビットボウイがやったこと
が有るハンザトンスタジオで、廊下にはゴールドディスク(ゴールドリール?)
がべたべたと何枚も飾ってありました。

卓はSSLの4000Eで、コンピューターにGを搭載しているという、
日本でも見かけるタイプのものなので特になんの違和感も感慨もなく、普通
に仕事してきました。MTRマスターは3348ですが、このスタジオでは
常設してあります。これは海外のスタジオでは珍しいなと思いました。
仕事の関しては機材面で特に変わったところもなく日本でやるのとそう変
わりませんが、細かいところに習慣の違いや考え方の違いがあって面白
かったです。

日本で作業しているときからずっとNHKのドキュメンタリーの取材が
入ってましたので、ひょっとしたら、画面の片隅にでも写っているかも
しれません。

ベルリンの街はとても好感が持てました。また行きたいし、出来れば住
んでみたいとさえ思いました。なんと言うか、街が優しいです。
僕は繁華街よりも人が実際に住んでいるところに興味がありますから、今回
もバス、地下鉄、近郊電車を利用して歩き回りました。通りを隔てて住んで
いる人達の人種が違っていたり、お店の内容が違っていたり、まあよくある
ことですが、楽しかったです。

楽器に関することを書こうと思ったんですけど、残念ながら楽器屋さんには
行きあたらず、蚤の市で数本のバイオリンと管楽器を見ただけです。今度行く
ときはちゃんと調べてみてこようと思ってます。ドイツの電気楽器はなかなか
良いですから。
(2001.02.19)

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ギター内部の配線


 ギター内部の配線についての実験結果を少々。書かれている音の印象はあくまで僕
がこう感じたというものです。音に関する同じ言葉でも、人によっては、正反対の意
味合いにとられることも有りますし、音の感じを伝えるのは難しいですが、いくらか
でも伝われば嬉しいです。

**導電塗料**
 ギターが拾う外部からのノイズを減らすために、さまざまなシールド方法が考えら
れています。アルミ箔や銅箔を使ったり、カーボンを含んだ導電塗料を使ったりとい
うのが一般的です。一時期のギブソンのように専用のシールドBOXを使用している
場合もあります。どの場合も正しくアースに落とすこととショートに気をつけること
が必要です。これらのシールドについて「効果がない、気のせい」と言う人もいます
が、僕の実験では効果ありです。ですから、ほとんどの場合何らかのシールドを施す
ようにしてます。
 シールドが音に影響を及ぼす? 確かにそうです。特にピックアップのキャビ
ティーにまでシールドを施す場合、浮遊容量によってハイエンドがアースに逃げてし
まうのを、ちょっと頭に置いておいた方がよいと思います。このこと自体が悪いとい
うのではなくて、こういう効果が有るんだと知った上で、良い方向に使っていけばよ
いと考えてます。例えばハイエンドのコントロールがこのシールドで可能な場合もあ
るということです。ノイズ問題だけではなくて、全体的な音作りの中でシールドも考
えるようにしています。

**線材は?**
 どんな線で配線するか考えたことは有るでしょうか? 線の材質や形状で音の出方
が微妙に変わるようです。市販のギターで安物のシールド線を使用しているものが有
りますが、これは出来れば交換して音を比較してみることをおすすめします。得体の
しれないビニール被覆線も同様です。特にアウトプットジャックに行っている配線は
別の物に交換するとあっと驚く変化をする場合が有ります。
 僕は今のところ数種のワイヤーを用意して、そのギターの性格に合わせて使い分け
るようにしています。

 1)オールドのウエスタンエレクトリックのワイヤー
 2)銀めっき線
 3)単線の耐熱線
 4)撚り線の耐熱線
 5)その他いろいろ

などをトライアンドエラーで使ってます。

 1)最近わりと出回ってます。中域に特徴があるようでピッキングのニュアンスを
よく伝えます。そのせいかプレイに奥行き感が出ます。組み合わせるピックアップに
よってはスゴ〜〜く渋い感じになります。なんと言うか、高級感がでます。用途が違
いますが、これの編み線で作ったスピーカーケーブルはダントツに音が良いです。

 2)秋葉原で適当に買い求めた物でメーカーとかよくわかっていません。ハイエン
ドの出方が気に入ってます。ずっと前に高級な銀線を試したときは、不要な音が多す
ぎてイヤだったんですが、今回買い求めた線はメッキで、しかも非常に安い物だった
せいか(?)ちょうど良い感じです。カッティングなどのときの音のそろい方や響き
方が気持ちよいです。

 3)オーディオマニアの間でわりと評判の良いものです。メーカーの試作機なんか
の内部配線で見かけることが有ります。

 1)2)3)これらはいずれも撚り線ではなく単線です。どういうわけかヘナヘナ
の撚り線は音がふやけた感じがします。撚り線でも或る時期のギブソンが使っている
ようなちょっと硬めで芯線の本数が少ないものは音が良いように感じます。気にいっ
て使っているジョージL'sのシールドケーブルの芯線もかなり硬いです。最近入手した
ウエスタンエレクトリックの撚り線もかなり硬くて、なかなか良い音がします。

 4)は手で触った感触はそれほど硬くは有りませんが、音質で定評あるものです。
 ウエスタンエレクトリックとはまた違った意味で中高域に特徴がでます。たまたま
僕のテレキャスターに使って暴れ方がちょうど良かったです。ウエスタンエレクト
リックの単線にすると意図とは違う高級な音になってしまって、僕のギターのバリ
エーションの中での居場所がなくなってしまいました。
 {もう一本ある別のテレキャスターはホット側にウエスタンエレクトリックの撚り
線、アース側にウエスタンエレクトリックの撚り線と 2)の銀めっき線のパラレル
で、ちょうど良い感じになりました。}

 5)そのほかに銅の単線各種や、気に入っているシールドワイヤーから抜いた芯線
なども試しています。ベルデンの銀めっき線やオヤイデのリッツ線なども良さそうな
ので試用してます。
 リッツ線は、僕の考え方ではパラレル使用の究極の姿なので、何かうまい使い方は
ないものか模索してます。分解能は非常に良いです。良すぎてちょっと持て余すよう
なところもあります。コードが団子になりがちなピックアップと組み合わせた
ら・・・などと考えてます。
 ベルデン銀めっき線と 2)の銀めっき線をパラで使うと、他では得られない「パ
キッ感」?が見事にでます。これをどのギターで使うか・・・悩みはつきません。

 どの線材が良いのか結論はまったくでていません。同じ線材を複数本編み合わせて
使ってみたり、別の線材とパラレルで使ってみたり、その時その時で、よりそのギ
ターらしい音がでるものをOKとしています。ちょっと例を挙げると、プロデュー
サーのT氏のギター(ストラトタイプ)はウエスタンエレクトリック、プロデュー
サーのN氏のレスポールもウエスタンエレクトリック、ギタリストS氏のSGはウエ
スタンエレクトリックと銀めっき線のパラレルを使用してみました。
 僕が所有しているギターの内部は千差万別です。ほとんどが実験用のギターみたい
なものなので、ものによっては一週間ごとぐらいに変わっていたりします。今はパラ
レルの感触が気に入って、徐々に換えつつあります。基本的には単線のどれかで初め
てそれらで物足りないとき撚り線に移行していきます。パラレルの組み合わせを考え
て試していくと果てしのない作業に思えてきます。が、望みの音が得られたときには
本当に嬉しくなります。

 アース側の配線も上記の線材をトライアンドエラーでつけたりはずしたりして、ベ
ストマッチを探しています。これも一筋縄ではいきません。ホット側と同じ線材がベ
ストかというと、そんなことも無いようです。 ホット側との微妙なバランスというも
のが有るようです。
 どちらがわから決めていくのが良いのか、試行錯誤してます。現状ではアース側を
良かれと思うものに決めてしまって作業を進めてますが、最終的にまたアースライン
に戻ったりもしてます。

 上記の配線例で、ギターの中の配線全部にその線材を使っているというわけではあ
りません。だいたいジャック側から順に換えていって、ある程度の音になったところ
でとどめてあります。ですから、ものによってはアウトの配線だけを換えていたり、
ほとんどすべてを換えていたり、いろいろです。アース側はほとんど配線しなおす場
合が多いです。

 とりとめがなく、分析が出来ていないのであまり参考にならないと思いますが、使
用する線材で音が変わる可能性があることだけは、知っておいて損はないと思いま
す。

**撚り線は駄目なのか?**
 良質なケーブルを作っているオーディオクエスト社のパンフレットはとても参考に
なります。撚り線の問題や単線の太さの影響について言及しています。同社が最終的
に採用しているのはリッツ構造のものなのですが、その理由を述べてあります。ま
た、同様に素晴らしいケーブルを作っているカルダス社のパンフレットを見ますと、
「オーディオクエスト社も異なった経路をたどりながら同じ考えにたどり着いた」と
いうようなことが書いてあります。つまり両社とも基本にリッツ構造を取り入れてい
るということです。
 おおざっぱに言って、そこでは撚り線は好意的には語られていません。或る部分僕
もそう思います。しかし、僕は撚り線をそれほど絶望的には見ていません。ギター内
部の配線ということに限定して考えれば、効果的な使い方を見いだせるのではないか
という立場です。ちょうどギターシールドのカールコードの存在みたいなものです。
カールコードがオールマイティーに使えるとは決して思いませんが、それでなければ
でない音が確かにあります。それゆえに存在価値を見いだすことが出来ます。
 撚り線も、うまい使いどころさえあれば個性的なサウンドを作り出せるのではない
かと思って、実験しています。実際、先に書きましたように一部のギターで良い結果
を出せています。

**ハンダ?**
 ハンダの質によって音が変わるようです。これはまだ数種類しか試せていません。
各社から高級なハンダが発表されてますが、高価なのと作業がめんどくさいのとで、
なかなかテストできません。そのうちやらなければとは思ってますが・・・・またい
つか報告いたします。

**キャパシタ?**
 トーン回路に入っているコンデンサーです。これを換えて音が変わる? 某社から
出ている本などを見ると「気のせいでは?」と書いてあります。ですが実験してみる
と本当に変わるみたいです。今までにコンデンサーを換えたミュージシャンたちが、
異口同音に変化具合を語りますので、気のせいだけとは言えないと思います。僕も変
化があると思ってます。スタジオのコンソールのコンデンサーを別のものに換えると
音が変化します。オーディオマニアの会話でも「音の良いコンデンサー」についての
考証が登場しますので、これはやはり本当ではないでしょうか。

 ほとんどのギターのトーン回路の場合、このコンデンサーと可変抵抗とによるフィ
ルターがぶら下がりっぱなしです。ですからコンデンサーの特性の違いによって差が
でるのではないでしょうか?試みにいろいろなタイプのコンデンサーを入れてみる
と、トーン全開の状態でもメローになったり、シャリシャリ感が出たり、荒れ気味に
なったりします。

 とにかくトーンのコンデンサーは選ぶ価値がありそうです。コーネルダブラーPMと前
述の配線材ウエスタンエレクトリックを組み合わせると、本当に渋い高級なサウンド
のギターになるという印象が有ります。(コーネルダブラーにもいろいろあって、そ
れぞれ音が微妙に異なりますが。)
 もうひとつ気に入っているのはヒューマン・ギヤ特注のスプラグ製「オレンジド
ロップ」で、 最近の音楽にあいそうな気がしてます。これはポリエステルフィルムコ
ンデンサーだそうです。

 ポリプロピレンやスチロールのものも好みに合うようで、テスト中です。 暇を見つ
けては秋葉原で各種コンデンサーを購入して比較実験してます。ポリプロピレンでも
ERO製と神栄製では音が違い、スチロールでも銅箔のものはまた違って、頭が痛く
なりそうです。

**情報お待ちしています**
 じつのところ、僕はセラミックをあまり使いたくありません。安さ以外のメリットっ
てあるんでしょうか。フェンダーは初期のペーパー(オイル?)コンデンサーのあ
と、60年代からずいぶん長いことセラミックを使ってましたが、いつ頃からか使い
場所によってマイラーを混在させてます。マイラーの方が価格的に高いので、何かの
思惑がなければこうした変更はないと思ってます。はっきりした理由をご存じの方い
らっしゃいませんか?
 ギブソンは初期の物はペーパー(オイル?)で、やはり60年代からセラミックが
主流になったようです。しかし僕が持っている70年代の物はセラミックではないの
で、ものによって使い分けていたのかなとも思います。
 両社で使用されているコンデンサーのリストを作りたくて調査中です。このあたり
の資料をお持ちの方、コンデンサーに詳しい方、ぜひメールください。
宜しくお願いいたします。
(2000.12.29)

コンデンサー
コーネルダブラー、スプラグ、ERO、神栄、その他各社のコンデンサー

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死んだ弦(スチール弦)は復活するのか?


 ギターやベースを弾いているとだんだん音に輝きがなくなってきて、いわゆる、弦
が死んだ状態になってしまいます。何故死んでしまうのでしょう。

 ひとつには弦にフレットによる傷が付いて、きれいに振動しなくなってしまうこと
が考えられます。これはフレットつきの楽器であるいじょう避けられないことです。
 もうひとつには、金属疲労が言われることが有ります。しかしこれについては
ちょっと納得しかねる部分が多々有ります。と言うのは同じように弦が振動するピア
ノではそのようなことは言われないからです。実際、ピアノの弦の寿命は驚くほど長
く、いつ弦を換えたかわからなくなってしまうほどです。したがって、単なる金属疲
労説には首をかしげてしまうのです。
 ピアノとの違いを考えると、手の指で直接弦に触って、弦を汚してしまうというこ
とが有ります。白熱して汗をかいてしまうような演奏をしたときには、弦にも大量な
汗や手あかをつけることになります。これの影響は相当有るのではないでしょうか。
特に巻き弦の場合、その巻の間に相当な汚れが入り込み、弦をミュートしてしまうこ
とが考えられます。ならば何らかの方法できれいにしてみたらどうでしょう。
 ずいぶん昔から、死んだ弦を復活させるにはお湯で煮ればよい、というのが有りま
す。貧乏バンドのときはそれだけにとどまらず、さまざまな再生復活方を試したもの
です。いつだったか海外の雑誌でも煮ればよいと書いてあるのをみかけたことが有り
ます。煮れば汚れは結構落ちそうです。

 そこで、今回使い古しのベース弦を使って、煮ることで弦が復活するのかどうか,も
う一度試してみることにしました。僕のストックの中にはミュージシャンからもらっ
た古い弦が各種あります。これは古い弦の音がほしい特殊なレコーディングのときに
使えるように確保してあるもので、なるべく傷が無いものだけを残してあります。
 昔の記憶では、ただ煮ただけではそれほど生き返らなかった記憶が有ります。今回
は汚れを取るということを主眼にしているので、重曹を入れて煮てみることにしまし
た。これは鍋なんかの汚れを取るのに重曹が効果的だという記事をどこかで見たよう
な気がしていたからです。
 鍋に湯を沸かして各種ベース弦を丸めて投げ込み重曹を入れてみました。すると、
でてくるはでてくるは、汚れがバーっと泡になって凄い状態です。そのまま10分ぐ
らい煮て弦を取り出しました。水気をよく切って弦を伸ばして乾かしました。よく乾
いてからスプレーオイルをさっとふきかけて乾いた布で拭き取りました。
 早速ベースに張って試してみると、なんと各種弦とも、かなり復活です。やはり弦
の巻の中に入っていた汚れが弦死にの元凶だった気がします。
 煮ると熱のせいで弦が生き返るという説も有りますが、高々100度で金属にそん
なに影響が有るものなのでしょうか?以前煮てみた経験からすると僕のなかでは汚れ
説が有力です。
 もし楽器に張ったままで完ぺきにクリーニングする方法があれば、かなり弦死にを
防ぐことができるんではないだろうかと思ってます。何か良い方法はないものだろう
か・・・

 今回試したのはスチールの巻弦のみです。プレーン弦はどうなるのか定かではあり
ません。またナイロン弦はどうしたらよいのかまったく不明です。ナイロン弦を煮
ちゃっても良いものなのでしょうか?ナイロンは100度の熱の影響をもろに受けそ
うですが。手元に実験材料がなくまだ試してみてませんが、そのうち古弦を集めてい
ろいろやってみようと思ってます。
 そういえばプロのドラマーで,ドラムヘッドをドライヤーで熱するとスティックで出
来たくぼみが修復されてはりが戻る、と言ってレコーディングの合間にドライヤーを
かけているのをみたことがあります。これは本当にそうなります。ただし長持ちはし
ません。やはり、一度デコボコになったところは、またデコボコになり易いようでし
た。

 しかしみんなよく工夫してますね。何か良い工夫をしている方、知っている方是非
教えてください。お便りお待ちしています。
(2000.11.26)

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ピックについての考察


  楽器屋さんにいくと各種多様なピックが売られている。
 使用するピックの選択はどうしたらよいのだろうか。スタジオでプロミュージシャ
ンの使用ピックを見ると、ポリシーを持っていると見受けられる人と、そうでもない
人がいるみたいだ。
 インタビューでアール・クルーが答えているところによると、とにかく楽器屋さん
にあるピックをすべて一枚ずつ買ってきて、自分にあうものを選べと答えている。
 そうするのが理想だが、実際問題としてそうもいかない。そこで、僕が今まで使っ
たピックから紹介してみようと思う。

***鼈甲が最高***

 まず材質だが、ダントツに良いのは鼈甲(本物)である。触ってみてかたすぎるよ
うに思うかもしれないが、弾いてみると「弦離れ」が非常によく意外にかたさを感じ
ない。音の粒だちが良く、コードストローク、単弦弾きどちらも良い。特に両者が混
在しているような弾き方のとき、単弦弾きが弱くなってしまいがちだが、鼈甲ピック
ではその落差が少ない。ほかのピックではかなりピッキングに注意しないと良いバラ
ンスにならない。鼈甲で弾いてくれると録音側はとっても楽が出来る。消極的理由で
かけるコンプ/リミッター・EQの量を少なく出来る。(積極的理由でかけるコンプ/
リミッター・EQについては、この限りではない)
 エレクトリック、アコースティックともに好結果が期待できる。手に入りづらいこ
とと高価である(¥1000〜1500?)ことが玉に瑕である。一時、取り引き禁
止になったとの話があったがどうなんだろう?ワシントン条約の条項が誤って伝わっ
たものなんだろうか。現在でも入手できる店はあるので・・・
 選ぶ際の注意としては、さすが「生もの」一枚ずつ音が違うので、何枚か弾き比べ
て、好みのものを選べばよい。微妙な反りや粘りの違いもあるみたいだ。形状もメー
カーによってなのかもしれないが、少しずつ違いがある。
 あまり減らないし長い時間使えるのでコストパフォーマンスは良いのかもしれな
い。昔風のギタリストの話では、指の熱と圧力でしだいに自分の指にぴったり合うよ
うに変形してきて、長く使えば使うほど弾きやすくなってくる、ということである。

***クレイトンの半透明はなかなか良い***

 つぎにお勧めなのがクレイトン社の「鼈甲風」という名前が付いたピック(ルック
スは半透明で鼈甲模様ではない)である。クレイトン社からは白っぽい素材のものも
でているが、これではない。
 鼈甲のピックを机の上などに落としてみるととても乾いた良い音がするのだが、ク
レイトンの「鼈甲風」もとてもよく似た良い音がする。弾いてみると、完ぺきに同じ
というわけではないが、音の傾向がとてもよく似ている。
 厚さは5種類ぐらいあって好みに合わせて選べる。どの厚さも、クニャクニャした
りあるいは変にゴツゴツしたりすることも無く、とても弾きやすくしかも音が良い。
値段はアメリカのショップで普通のピックの3倍ぐらいの値段で売っているので、
ちょっと高め、というところだろうか。日本ではあまり見かけないが、一応輸入代理
店が決まっていて扱っているはずなので、あるところにはあるのだろう。僕は小売店
で見かけたことがないのでいくらの定価がついているか知らない。
 僕の仲間たちでテストしてみてとても具合良いので、友人の会社でも1年ほど前か
ら扱うことになった。プロミュージシャンで使用している人が増えてきたが、ほとん
どその友人のところで入手していると思う。

***デルリン製はわりと好きかな***

 各社からデルリン製のピックが各種でている。JIM DUNLOPやFENDERなどからで
ているカラフルな艶のあるピックである。この素材は滑りがとても良いみたいで弦に
ピックが当たっている時間が短く、「弦離れ」がきれいだと思う。アタック時に変な
振動を引き起こさないからだと思うのだが、抜けの良いきれいな感じの音がする。一
枚のピックによる音の幅は前述の鼈甲・クレイトンほど広くはない。鼈甲やクレイト
ン「鼈甲風」は、じつはピックの厚さをそれほど選ばない。どれを使ってもそれなり
の弾きやすさと音がする。デルリン製はそうはいかないみたいなので、各種厚さをそ
ろえて使い分けると良いだろう。値段は普通(¥100ぐらい)、わりとどこのお店
にもあって手に入れやすい。
 一部のメーカーで仕上げが荒くてバリのようなものがでているものがある。これを
気にして使わない人もいるのだが、それをのぞけば良い音がするので工夫して使うの
が良いと思う。工夫といっても、ナイフで軽くバリ取りをするだけである。ナイフの
刃を直角に近く立てて削り取るようにすると簡単にできる。何種類かのやすりを用意
して削って仕上げても良いが、ちょっと工作の知識がないときれいな滑らかな仕上げ
にはならないので、かえって面倒かもしれない。
 ナイフでバリ取りするついでに、ポイントの形状角度を各種作っておければなおバ
リエーションが増えて便利だ。僕はとんがったものとか丸めのものとか暇なときに作
りためている。

***TORTEXも音は好きなんだけど***

 JIM DUNLOPからでている、艶消し気味のエッジ処理がわりとスクエアなピックで
ある。汗をかいても滑りにくく、ベースに使っても好印象だ。音は鈍そうな見かけよ
り乾いた音がする。ある種のセラミックっぽい印象すら僕は持っている。
 ある仕事での、ギターテクニシャンの奥の手は各種厚さのTORTEXピック
だった。それぐらいこれに惚れ込んでいる人もいる。素質は良い。
 ただひとつ改善できないのかなと思うことは反っているピックが見受けられること
である。厚めの物は良いのだが、薄くなるにつれ反っているものが増えてくる。何か
「目」のようなものがあるみたいで、反り方に二種類あるようだ。いずれにしても限
度を越えれば弾きにくい。
 値段はやはり¥100ぐらいで、どこのお店でも買えるようだ。アメリカでの値段
は前述のクレイトンは高くて60セント、デルリンは15セント、このトーテックス
は20セントぐらいだ。(¥70〜¥17ぐらい。安い!)
 日本で買うピックは高い。ピックだけを買うなら送料は安いので、僕はもっぱら通
販でまとめて買っている。安く手に入れたものなのでミュージシャンにもテスト用に
気軽くプレゼントしている。一枚¥100以上ならとてもこうはいかないと思う。

***ナイロンピックと金属ピック***

 ナイロンピックはある時代を風靡したものだが、僕は今は特殊な場合にしか使わな
い。アタックのあり方が好きじゃない場合が多いから。しかし、各社から多くのモデ
ルが出ているということは、それだけ売れるということだろうか。ナイロンピックを
使うと、まあ、うまそうに聞こえて気持ちが良い、ということは有るかもしれない。
僕にはそれがアタックの曖昧さに聞こえてしまうのだが。
 金属のピックは見かけとでる音が違ってめんくらう。以前からステンレスっぽい素
材のものがあったと記憶しているが、意外とソフトな音色で驚いたことが有る。ピッ
クテックというファイバーのピックを開発しているメーカーで、金属ピックも製作し
ていた。僕がファイバー製のものに興味があり直接連絡していた関係上、何かのつい
でに試作品や製品化されたものを同封してくれていた。アルミのもので削り方を変え
てみたり、塗装を変えてみたり、磨き方を変えてみたり、合金加工を変えてみたり、
真鍮製にしてみたり、銀製を作ってみたり・・・いずれも見かけとは違って、落ち着
いた音色で、密かに好きだったりする。とくにしんちゅうのものは重さもふくめてこ
のみかな・・・
 一部のものは普通に買えると思う。お店には並んでないかもしれないので、メー
カーに連絡をとるのが手っ取り早いかもしれない。あっ、これは既に普通ではない
か。
 金属というと一般に何故か拒否反応が有る。すぐに弦が切れるとかキンキンすると
か・・・でも試してみた結果なのかどうか・・・・
 フィンガーピックの多くは金属で作られていて、べつに問題なく使えている。また
コインで弾いているプロミュージシャンの話はよく耳にする。特に日本の5円玉は
ピックとして人気がある。穴開きであるということで汗で滑りにくく使いやすいらし
い。しかも周りにギザギザがなくて、とても具合良いらしい。来日の際に大量に仕入
れていくという話を聞いたこともある。
 話のついでに、フィンガーピックではナショナルが定番だろうけど、JIM DUNLOP
の2種類の素材と、豊富なゲージの種類には圧倒される。グローバーのは仕上げ具合
と硬さがいまひとつ気に入らない。これも好みですか。

***ピックじゃないけど・・***

 ピックじゃないけどバイオリンの弓でギターを弾くというのがある。ジミー・ペイ
ジの得意技。その弓をうんと小さくして指につけて弾く?ようになっているのもあ
る。ピラニアという名前みたいで、魚の絵が描いてあって、その口に指をかみつかせ
る。現物が今ここにあるが・・・難しい。アコースティックギターでやるほうが簡単
で、ソリッドのエレクトリックではとっても難しい。ちゃんと使ってる人を見たこと
がない・・って、持ってる人に出会ったことも無い。 それに比べるとEーBOWは
大いに使える。命名の由来はエレクトリック・ボウということだろうか。時代ととも
に3種類ぐらいがでているようで、どれも使って好結果を得ている。

***練習専用ピック***

 練習専用のピックも有る。何種類か有るのかもしれないが、今まで見たものはいず
れもピック先端部に変な出っ張りをつけたようなもので、ピックのあたり方が悪いと
引っかかって弾けなくなってしまう。やってみたけどかなり難しい。
 かと思うと指につけて鍛えるというオモリも売っていて段階に応じて何種類か有る
ようだ。まったくなんと言ってよいか・・・う〜〜ん、試してみたい!

***ティアドロップかトライアングルか***

 形状についてはどうなんだろう。僕はティアドロップ(スタンダード)のほうが好
きなのだが、仕事で出会う人達は約半々のようだ。一般的にバレーでコードを押さえ
て、コードストロークで多くの弦を弾く、と言うスタイルの人にトライアングルが多
いみたいだ。
 反対にコードも2〜3弦だけで、単弦によるプレイが多い人はティアドロップを好
むみたいだ。ちゃんと弾ければどちらでも良いんだけど、ちょっと気になる。
 それからピックを持ったときの手のひらの形状だが、日本人はわりと開いて小指を
どこかに着けていたりすることが多い。世界的?にはこのスタイルはむしろ少数派
で、軽く手のひらを閉じている人のほうが多いらしい。
 ピッキングのスピードということで見てみると、僕の観察範囲では、軽く握ってい
るほうがスピードが速いみたいだ。ストローク、単弦ともに音の立ち上がりが良い。
ピックのあたり方もこちらのほうが理想的な状態になりやすいようである。と言う
か、ピックのあたり方をちゃんとコントロールできていると言うべきかもしれない。
手を開いた状態ではどうしても手首の動き方が制限されるようだ。
 もし両方のスタイルで弾ける人がいたら、是非意識して両方の音の違いとピッキン
グスピード(速いテンポという意味ではない。各ピッキングそのもののスピード)の
変化を試してみてほしい。

 何か書き忘れている気もするけど、また今度。
(2000.10.20)

いろんなピックピックいろいろ。

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ギターアンプモデラーの比較テスト


 リットーミュージックの「サウンド&レコーディング」誌の
依頼により、いわゆるモデリングアンプの比較テストを行い
ました。ギタリストの徳武(Dr.K)さんとの共同作業で、
Dr.K studioで行ないました。テストしたのは次の6機種でし
たが、実際の記事では少なくなっていると思います。

POD2(LINE6),J-station(johnson),Sans Amp classic(TECH21),
GM-200(ZOOM),vg-88(Roland),DG-STOMP(YAMAHA)

 LINE6とjohnsonはさすがに良く出来ています。
SansAmpも、モデル名をそんなに強く意識しなければ、
十分に使えます。
 記事では触れていないと思いますが、ぼくが所有している
SansAmpはごく初期型で、現行のclassicとは回路やパーツが
異なっています。音の比較をしてみましたが、明らかに違います。
どちらが良いとは一概には言えません。まあ、好みによってという
ところでしょうか。記事中で言及されているのは、現行モデルです。

 また、Morleyから出ているジェリー・ドナヒュープリアンプも、
参考のため持参しました。これは日本ではほとんど知られていませんが、
ちょうどSansAmpのような感覚で使えるものです。
これも実はなかなか良いです。基本的なサウンドがいかにも
ジェリー・ドナヒュー風でファンなら絶対に欲しくなるプリアンプです。
価格的にも買いやすい値段です。日本にあるかどうかは不明で
す。僕は海外のショップの通販で買いました。

このテストは機種による微妙なノリの差がわかって、とても、面白かったです。
詳しくは、次号のサンレコ(2000年10月号)を見てください
(2000.08.20)

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ゴア社の弦


 ゴアというのは、あのゴアテックスで有名な会社だ。
そこが、なぜギター、ベース弦なのか?よくわからないが
ともかく、ちょっと変わった弦を発表している。
これは巻弦に特殊なコーティングを施したもので、劣化が非常に少ないと
いう説明になっている。
ギター用、ベース用各種出ているわけだが今回はギター用をテストしてみた。
張りたての感じは、いわゆる、いかにも「新しい弦です」というピーンとした
部分が少ない。普通の弦を張って数日経った後という感じだ。
そのちょっと落ち着いた響きは悪くない。これがどこまで持続するかだ。
現在、はってから5ケ月を経過しているが、劣化は非常に少ない。
看板通りの性能といえるだろう。
ちょっと高めの価格設定だが、使い途によっては非常に存在価値のあるもの
といえる。
渋めのサウンドが好みの方には、サウンド、耐久性の面でオススメできると思う。
(2000.08.03)

ゴア→http://www.goremusic.com/

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